【世界遺産】「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群|海と女神がつなぐ祈りの聖地【福岡・宗像】

2017年、ユネスコ世界文化遺産に登録された「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」。
その中心に位置するのが、日本最古級の女神信仰を伝える**宗像大社(むなかたたいしゃ)**です。

本記事では、**宗像三女神を祀る三宮(辺津宮・中津宮・沖津宮)**それぞれの由緒・特徴・見どころを、世界遺産としての価値とともにわかりやすく紹介します。


■宗像大社とは?|日本神話と三女神信仰

宗像大社は、天照大神の子・宗像三女神を祀る全国の総本宮です。

三女神は、スサノオと天照大神の「誓約(うけい)」によって生まれたとされ、海を守る神として古代より篤い信仰を集めてきました。

神名鎮座地祀られる社
田心姫命(たごりひめのみこと)沖ノ島沖津宮
湍津姫命(たぎつひめのみこと)大島中津宮
市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)宗像本土辺津宮

この三柱をそれぞれ別々の場所で祀る「三宮制」は、海の道(古代海上交通)の安全を祈る祭祀の形として知られています。


■世界遺産としての評価|「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群

2017年、以下の構成資産群がユネスコ世界文化遺産に登録されました。

◉登録名称:

『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群

◉構成資産一覧(主なもの):

  1. 沖津宮(沖ノ島)
  2. 中津宮(大島)
  3. 辺津宮(宗像市田島)
  4. 宗像大社神宝館
  5. 新原・奴山古墳群(しんばる・ぬやまこふんぐん) ほか

この中でも特に中心をなすのが、「宗像三宮」の存在です。


■宗像大社 三宮紹介

◆① 辺津宮(へつみや)|本土に鎮座する総社

  • 所在地:福岡県宗像市田島2331
  • ご祭神:市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)
  • 社格:官幣大社、別表神社
  • 特徴:宗像三女神を九州本土で同時に参拝できる総本社。神宝館にて国宝約8万点を展示。参拝者のほとんどがまず訪れる中心地。

本殿の奥には「第二宮」「第三宮」があり、大島・沖ノ島の神々も遥拝できます。
境内には古代祭祀の遺跡「高宮祭場」もあり、自然信仰の源流に触れられます。

沖ノ島は一般の立ち入りも制限されていることから、ほとんどの参拝者はこの辺津宮で参拝を済ませるようです。


◆② 中津宮(なかつみや)|海上の島「大島」に鎮座

  • 所在地:福岡県宗像市大島1811(離島・大島)
  • ご祭神:湍津姫命(たぎつひめのみこと)
  • 特徴:沖ノ島と本土の中間に位置。中継地としての信仰的役割を果たしてきた。海を望む神秘的なロケーション。

境内には「天真名井(あめのまない)」と呼ばれる御神水が湧く。
山の上には「沖津宮遥拝所」があり、一般人立入禁止の沖ノ島を遠くから拝むことができます。


◆③ 沖津宮(おきつみや)|神宿る島・沖ノ島

  • 所在地:福岡県宗像市沖ノ島(玄界灘沖 約60km)
  • ご祭神:田心姫命(たごりひめのみこと)
  • 特徴:女人禁制・上陸制限あり。古代から一貫して男性神職のみが祭祀を行ってきた聖域。島全体がご神体。

沖ノ島では、約1300年以上にわたり祭祀が絶えず行われ、遺物約8万点が出土(すべて国宝)。
一般人の上陸は禁止されており、**信仰と自然が融合した日本唯一の「聖なる島」**とされます。


■宗像三宮をめぐる旅|祈りのルート

項目内容
辺津宮 → 中津宮JR東郷駅→神湊港→フェリーで約25分
中津宮 → 沖津宮一般立ち入り不可(神職のみ)
代替辺津宮内に「第二宮・第三宮」あり、三女神を一括で参拝可能

船に乗って大島を訪れ、中津宮を参拝し、沖津宮遥拝所から「神宿る島」を仰ぐコースは、宗像信仰をより深く体感できる旅です。


■まとめ|神話と信仰が息づく、海の世界遺産

宗像大社は、海の彼方に神を祀るという古代日本人の自然観と信仰のかたちを、今もそのまま残している貴重な遺産です。

  • 沖ノ島=神宿る島
  • 中津宮=海と神をつなぐ場
  • 辺津宮=民の祈りの中心地

この三宮を通して、日本の精神文化と神話世界に深く触れることができます。
現代に生きる私たちも、旅を通じて**「祈りとは何か」**をあらためて見つめ直せるかもしれません。

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