【伝説図鑑】岩戸隠れ|天照大神が姿を消した日、世界は闇に包まれた

日本神話の中でも、特に有名で神秘的な物語が「岩戸隠れ(いわとがくれ)」の伝説です。
太陽の神・**天照大神(あまてらすおおみかみ)**が天岩戸(あまのいわと)にお隠れになったことで、
世界が闇に包まれたとされるこの出来事は、日本の神道信仰に深く根付いています。


◆ 岩戸隠れとは?

「岩戸隠れ」は、『古事記』や『日本書紀』に記されたエピソードです。
ある日、天照大神は弟の**須佐之男命(すさのおのみこと)**の乱暴な振る舞いに耐えかねて、
天の岩戸という洞窟に籠もってしまいます。

天照大神は太陽神ですので、姿を隠されると、
世界は闇に包まれ、災いと混乱が広がりました。


◆ 物語の流れ

  1. 須佐之男命の乱暴
    • 天上の田畑を荒らし、天照大神の機織り屋に死骸を投げ込むなどの蛮行を繰り返す。
  2. 天照大神の岩戸籠り
    • 深く傷ついた天照大神は、天岩戸にお隠れになる。
    • 天地は闇に包まれ、神々も人々も困り果てる。
  3. 神々の相談と対策
    • 八百万の神々が集まり、「どうすれば天照大神を再び世に出せるか」を議論。
    • 天児屋命(あめのこやねのみこと)や布刀玉命(ふとだまのみこと)らが儀式を執り行う。
  4. 天鈿女命(あめのうずめのみこと)の舞
    • 天鈿女命が乳を出し、腹を見せて踊ると、神々は大笑い。
    • 不思議に思った天照大神が岩戸を少し開く。
  5. 力の神・天手力男命(あめのたぢからおのみこと)が岩戸を開く
    • その瞬間を見計らい、力の神が天照大神を岩戸の外へと引き出す。
  6. 世界に再び光が戻る
    • 太陽が戻り、天地は再び明るく、平和が戻った。

◆ 岩戸隠れの意味と教訓

この神話は、日本文化や信仰において多くの象徴的な意味を持っています。

  • 自然の秩序の大切さ:太陽の不在は、自然と社会の混乱をもたらす。
  • 神々の協力:八百万の神々が知恵を出し合い、事態を解決。
  • 芸能の起源:天鈿女命の踊りは、日本芸能や神楽の源流ともされる。
  • 祭祀と祈りの力:儀式や祈りの重要性を示すエピソード。

◆ 岩戸隠れゆかりの地

地名内容
天岩戸神社(宮崎県高千穂町)岩戸神話の舞台とされる神社。実際の「天岩戸」が祀られている。
高千穂峡神々が集まったとされる場所で、神話の気配を感じられる名所。
伊勢神宮(内宮)天照大神の御鎮座地。岩戸伝説とも深い関係がある。

◆ まとめ|太陽の神と人々の祈り

岩戸隠れの神話は、「光(太陽)」が失われたときの人々の困難と、
それを取り戻すための神々の知恵と行動を描いています。

今もなお、天照大神への信仰は日本全国の神社に息づいており、
この伝説は**「神と人とのつながり」**の象徴といえるでしょう。

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