第4話:天岩戸伝説(天照大神の岩戸隠れ)
かつて天照大神(あまてらすおおみかみ)は、高天原を統べる太陽神として、世界に光と秩序をもたらしていました。ところが弟・スサノオの乱暴なふるまいが度を越し、ついに天照大神は怒りと悲しみのあまり「天岩戸(あまのいわと)」へとお隠れになってしまいます。
世界は闇に包まれ、神々も困り果てます。そこで八百万の神々が集まり、神議(かむはかり)を行い、一計を案じます。
アメノウズメが半裸で踊り出し、神々は大笑い。何事かと天照大神が岩戸の隙間から覗いた瞬間、アメノタヂカラオが岩戸をこじ開け、天照大神を連れ戻しました。
この伝説は、「光は再び戻る」ことを象徴し、太陽の再生神話として今も多くの神社の祭礼に影響を与えています。
▼関連神社:天岩戸神社(宮崎県高千穂町)
第5話:天照大神とスサノオの誓約(うけい)
乱暴なスサノオに対し、天照大神は「おまえの心が清いかどうか確かめよう」と提案します。これが「誓約(うけい)」です。二神はそれぞれが持ち物を交換し、そこから神々を生み出します。
天照大神はスサノオの剣を噛み砕き、三柱の女神を生み出し、スサノオは天照大神の玉から五柱の男神を生み出します。
この結果から、「自分の生んだ神の性別によって、清らかであることが証明された」とスサノオは得意になりますが、その後再び高天原で暴れ、天照大神の怒りを買うことになります。
誓約は「神の意志を天に問う」行為であり、日本神話における裁判的な儀式として重みを持っています。
▼ポイント:ここで生まれた神々はのちに重要な役割を果たします
第6話:スサノオのヤマタノオロチ退治
高天原を追放されたスサノオは、出雲の国へと降り立ちます。そこで彼は、八つの頭と尾を持つ恐ろしい蛇「ヤマタノオロチ」に毎年娘を食べられている老夫婦と出会います。
最後に残された娘が「クシナダヒメ」。スサノオは彼女を助ける代わりに結婚を申し込み、知恵と武力でオロチを倒します。
ヤマタノオロチに酒を飲ませて酔わせ、八つの頭を一つずつ切り落とし、尾を切ったとき、そこから名剣「天叢雲剣(のちの草薙剣)」が現れます。
この神話は、「荒ぶる神が英雄へと変わる」転機であり、スサノオの真価が試された瞬間でもあります。
▼関連神社:須佐神社(島根県出雲市)、熊野大社(島根県)
第7話:スサノオとクシナダヒメの結婚
ヤマタノオロチを退治したスサノオは、クシナダヒメと正式に夫婦となり、出雲の地に「須賀宮(すがのみや)」を建てます。その際、スサノオはこう詠みました。
「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」
この和歌は日本最古の歌とされ、「出雲」という地名の由来にもなったといわれています。
スサノオは荒ぶる神から「守る神」へと成長し、平和な地を築いたこの物語は、結婚・家庭・開拓の守護神として、現在も多くの信仰を集めています。
▼ご利益:縁結び、夫婦和合、災厄退散
▼関連神社:須我神社(島根県雲南市)
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