はじめに
神社に参拝に行くと、本殿の前に吊るされた**大きな鈴(すず)**を見かけたことがあると思います。
参拝前に「ガランガラン」と鈴を鳴らしてからお参りするのは、多くの方が知っている作法ですよね。
でも、なぜ鈴を鳴らすのでしょう?
ただの音ではなく、そこには深い意味と役割が込められているのです。
この記事では、神社の「鈴」に込められた意味、鳴らす理由、歴史的背景までをわかりやすくご紹介します。
1.神社の鈴とは?
神社にある鈴は、正確には「本坪鈴(ほんつぼすず)」と呼ばれるものが多く、拝殿の正面に太い鈴緒(すずお)=縄とともに吊るされています。
参拝者がこれを引いて鈴を鳴らします。
形は丸く、内部に玉が入っていて、振ると「ガラガラ」「ガランガラン」という独特の響きがします。
2.鈴を鳴らす意味と役割
❖ ① 神様に「ここに来ました」と知らせる
神社は神聖な場所。
鈴を鳴らすことで、神様に自分が参拝に来たことをお知らせする意味があります。
つまり、鈴は「訪問のチャイム」のようなもの。
静かに鎮座している神様に対し、「これからお参りします」と声をかける行為です。
❖ ② 邪気払い・場の清め
鈴の音は、**「魔除け」や「邪気払い」**として古くから使われてきました。
- 音には霊的な力があると考えられ、特に「鈴の音」は清らかで邪を遠ざけると信じられてきました。
- 参拝者の身と心を清め、神前にふさわしい状態に整える意味があります。
❖ ③ 神様をお迎えする“神楽”の道具から発展
神道における「鈴」は、元々は神楽(かぐら)=神様に奉納する舞に使われる道具でした。
巫女(みこ)が持つ「神楽鈴(かぐらすず)」は、小さな複数の鈴が連なった形で、舞とともに音を鳴らします。
このように、神様を招き寄せる・呼び起こすための道具として発展してきた歴史があります。
3.「本坪鈴」と「神楽鈴」の違い
種類 | 本坪鈴(ほんつぼすず) | 神楽鈴(かぐらすず) |
---|---|---|
形状 | 大きな一つの丸い鈴 | 小さな鈴が複数ついた鈴束 |
使用場所 | 拝殿前に吊るされている | 巫女の舞で使用される |
音の種類 | ガラガラ、ガランガラン | チリンチリンと軽やか |
※どちらも「神様と人をつなぐ音」として用いられます。
4.鈴を鳴らすタイミングとマナー
正しい参拝の順序(一般的な作法)
- 鳥居をくぐる
- 手水舎で手と口を清める
- 拝殿前で鈴を鳴らす
- お賽銭を入れる
- 「二礼二拍手一礼」でお参り
鈴は、参拝前に鳴らすのが基本です。
鳴らした後は、静かに心を整えて神様に向かいましょう。
5.まとめ|鈴は「音」で神様とつながる神聖な道具
神社の鈴は、ただの飾りではなく、
- 神様へのご挨拶
- 参拝者の清め
- 神との“音”による対話
といった重要な役割を担っています。
これから神社にお参りに行くときには、鈴を鳴らすその一瞬に、**「神様、こんにちは。参拝に来ました。」**という気持ちを込めてみてください。
神様との距離が、ぐっと近づくかもしれません。
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