日本の夏祭りといえば、浴衣、屋台、花火、そして――
「川」を舞台にした壮麗な水上祭りが各地に存在します。
その中でも「日本三大川祭(にほんさんだいかわまつり)」は、
歴史・規模・神聖さを兼ね備えた、特別な三つの祭りです。
この記事では、各地域に根付いた日本三大川祭をご紹介します!
◆ 日本三大川祭とは?
「日本三大川祭」とは、川を舞台に行われる祭りの中で、
特に歴史や伝統が深く、多くの人々に親しまれてきた3つの祭を指します。
祭り名 | 所在地 | 開催時期 |
---|---|---|
津島天王祭 | 愛知県津島市 | 毎年7月第4土・日曜(宵祭・朝祭) |
越中おわら風の盆 | 富山県富山市八尾町 | 毎年9月1日~3日(※川ではないが三大祭に含む説あり) |
厳島管絃祭(宮島管絃祭) | 広島県廿日市市・厳島神社 | 毎年旧暦6月17日(新暦7月中旬) |
※地域や資料により「隅田川花火大会(東京)」や「長良川鵜飼(岐阜県)」を含む場合もあります。
今回は特に神事色が強く、「水上の神事」として知られる3大川祭をご紹介します。
① 津島天王祭(愛知県津島市)
~幻想の灯りが流れる「尾張の祇園祭」~
津島神社の祭礼として、600年以上の歴史を誇る日本最古級の水上祭。
神社の神輿を迎えるため、夜の天王川に**巨大な灯籠をのせた5艘の「巻藁船(まきわらぶね)」**が浮かびます。
その幽玄な光景は「日本三大川祭の中でも随一の幻想美」と称されます。
◉ 見どころ
- 宵祭(よいまつり)での灯籠舟の巡行
- 翌朝の「朝祭」では神輿が川を渡る「御渡り」神事
- 津島神社の主祭神は「建速須佐之男命(牛頭天王)」=疫病除けの神
◉ 豆知識
この祭りが、京都・八坂神社の祇園祭と並ぶ**「祇園信仰の祭礼」**であることから、
「尾張の祇園祭」と呼ばれることもあります。
② 厳島管絃祭(広島県廿日市市)
~平安絵巻が水面に広がる神事~
世界遺産「厳島神社」の最大の神事のひとつ。
平安時代から続く由緒ある祭で、宮島の海に**御座船(ござぶね)が浮かび、
楽人を乗せた雅な管絃船(がんげんせん)**が、海上をゆったりと進みます。
まさに、平安時代の貴族の遊び「管絃遊び」が再現されており、
静かで優雅な水上の神事として知られています。
◉ 見どころ
- 船上での雅楽・舞楽の奉納
- 海上神輿の渡御(とぎょ)
- 宮島の厳島神社から対岸の地御前神社へ渡る神幸行列
◉ 豆知識
この神事を起源に持つため、厳島神社は「水上社殿の最高峰」とされ、
神と人と自然のつながりを感じる祭りです。
③ 隅田川花火大会 or 越中おわら風の盆?
地域によっては「三大川祭」の3つ目に異なる祭が挙げられることがあります。
① 隅田川花火大会(東京都)
- 江戸中期から続く川の祭典
- 死者の供養・疫病退散の意味を持っていた
- 「川」と「光」の大イベントとして全国的に有名
② 越中おわら風の盆(富山県)
- 八尾町で行われる幻想的な踊りと唄の祭り
- 「風の神」を鎮める意味がある
- 観光と信仰が融合した独自の風習
※川そのものを舞台にしていないため、三大川祭から除外されることもあります。
◆ なぜ「川祭」が重要なのか?
古来より日本では、川や水を「命の源」であり、神の通り道」として崇めてきました。
- 川は清めの力=禊(みそぎ)の場所
- 水神は田畑を潤す守護神
- 災厄や疫病は「水の力」で浄め祓うという信仰
こうした信仰背景から、川を舞台とした神事は、命を守る祈りの場でもあったのです。
◆ まとめ|水の上に広がる祈りと幻想
名称 | 特徴 | 開催地 |
---|---|---|
津島天王祭 | 灯籠舟と御神渡り | 愛知県津島市 |
厳島管絃祭 | 海上神事と雅楽 | 広島県廿日市市(宮島) |
隅田川花火大会 他 | 死者供養や疫病退散 | 東京都(or 富山県など) |
日本三大川祭は、「水に祈る」という共通の想いを、
地域の風土と信仰を通して表現した壮麗な伝統文化です。
夏の夜に、灯りがゆらめく川面を見ながら、
遠い昔からの祈りに想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
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