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【書物図鑑】倭姫命世記(やまとひめのみことせいき)― 神道五部書の重要文献 ―

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『倭姫命世記』(やまとひめのみことせいき)は、中世日本に成立した神道書の代表的な古典です。「神道五部書」と呼ばれる神道経典群の一つで、伊勢神宮の創祀伝承と神道思想を示す重要な書物として位置づけられます。


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基本データ

  • 書名:倭姫命世記
  • 読み:やまとひめのみことせいき
  • ジャンル:神道書(古典文献)
  • 成立:鎌倉時代中期(13世紀頃)
  • 形式:漢文を基調とした古記伝承文
  • 分類:神道五部書(経典)
  • 主題:倭姫命の神話・伝承および伊勢神宮の由緒説話

📖 編纂された背景と理由

🏛 伊勢信仰の広がりと書物成立

『倭姫命世記』が成立した背景には、平安時代末期以降、伊勢神宮の荘園制度(御厨)が各地に広がり、その信仰が中世に入ってさらに拡大したという事情があります。御師(おし)と呼ばれた神官たちが全国各地で伊勢信仰を広める中で、「伊勢神宮の由緒・根拠となる神話的物語」を体系化する必要が生じたのです。

📜 編纂の目的

本書が編纂された主な目的は次の通りです:

  • 伊勢神宮建立の正当性を補強すること
  • 倭姫命(やまとひめのみこと)の巡幸伝承を一連の物語としてまとめること
  • 神道思想(人間・神・儀礼の関係)を説き示すこと
  • 信仰者の共同性・教義理解を深めるための教典とすること

つまり、『倭姫命世記』は単なる物語ではなく、伊勢神宮信仰の体系化・普及を意図した宗教的・思想的文献という側面を持っています。


✍ 編纂者と成立事情

🧑‍🏫 奥書に見える名前

『倭姫命世記』の奥書(巻末の注記)には「禰宜五月麻呂(ねぎ さつきまろ)」という人物名が見え、神護景雲2年(768)撰と伝える記述がありますが、実証研究ではこれは後世の仮託であり、実際の成立は 鎌倉時代中期 と考えられています。

🔍 実際の成立

歴史研究者の見解としては、伊勢神道の 度会行忠(わたらい ゆきただ) などの外宮系神官が関係して編述された可能性が強く指摘されています。ただし、具体的な一人の編者名を確定するのは困難です。


📚 内容概要

『倭姫命世記』は、以下のような内容を中心に構成されています:

🌀 1. 天地開闢からの神々の系譜

神々がどのように世界を創り、人間と神の関係が成立したのかを説きます。

👸 2. 倭姫命の巡幸

皇女 倭姫命(やまとひめのみこと)天照大神(あまてらすおおみかみ) を奉じて各地を巡り、最終的に 伊勢(現在の伊勢神宮)に大神を鎮座させるまでの経緯が詳細に語られます。

🏯 3. 伊勢神宮の由緒

伊勢神宮の成立・神域定着の流れを物語化し、その歴史的正統性と神威(しんい)を示唆します。

💡 4. 神道思想の教説

後半には単なる伝承の説明を越え、人間の生き方・心のあり方(正直・清浄など) を託宣(託された言葉)として記述しており、当時の神道思想を伝えます。


現代語訳

📖 文体・特徴

  • 漢文体を基本 としながら、所々に日本固有の語や宣命体(古式の漢文体)を使っています。
  • 古代の語と中世の言葉が混在 しており、成立時期や歴史的背景が色濃く反映されています。

🧠 研究と評価の歴史

『倭姫命世記』の研究は江戸時代から行われてきました:

  • 吉見幸和(1736年):五部書で最も遅い成立と推定し、外宮神官による偽作説を展開。
  • 本居宣長:神宮の古伝承を含む点を評価。
  • 御巫清直:『太神宮本紀』など古い伝承との関係を検証。
  • 現代研究でも、成立事情や伝承の意味が詳細に議論されています。

🏁 倭姫命世記が残したもの

『倭姫命世記』は単なる伝承集ではなく、伊勢神宮という日本最大の神社の信仰体系を支える宗教文献です。
倭姫命という女性皇族の物語を通して、

  • 神と人間の関係
  • 信仰のあり方
  • 古代日本の祭祀と思想

など、日本古代・中世の宗教文化を理解するうえで欠かせない資料となっています。


📌 まとめ(要点)

項目内容
成立時期鎌倉時代中期
目的伊勢神宮の伝承を体系化
編纂者明確な個人は不詳(外宮神官の関与)
主題倭姫命と天照大神の巡幸・伊勢の鎮座
重要性神道思想・伊勢信仰の根拠書

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