伊欺許理度売命(いぎこりどめのみこと)は、
古代神話に登場する玉(勾玉)を扱う巫女神であり、
天孫降臨において邇邇芸命(ににぎのみこと)に随従した神の一柱です。
名前に「玉(こり)」を含むことからも、玉造り(たまづくり)や装飾・呪具に関わる役割を担っていたとされ、
その神格は工芸や霊力、女性の信仰とも深く結びついています。
◆ 基本情報|伊欺許理度売命とは?
項目 | 内容 |
---|---|
神名 | 伊欺許理度売命(いぎこりどめのみこと) |
表記ゆれ | 伊己理度売命・伊伎許理度売命など |
神格 | 巫女神、玉造りの神、呪術神、神宝の守り神 |
主な役割 | 天孫降臨において神宝(玉)を携えた巫女的役割 |
◆ 神話での登場と役割
伊欺許理度売命は、『日本書紀』や『先代旧事本紀』において、
**天孫邇邇芸命が高天原から降臨する際に供をした「五伴緒(いつとものお)」**のうちの一柱として登場します。
五伴緒とは、天孫が地上統治を行うにあたって随行した神々で、
それぞれが異なる役割を持っています。
伊欺許理度売命はその中でも**「玉(勾玉)」を守る神**とされ、
神宝である八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま)を携えた巫女的存在と位置づけられています。
◆ ご神徳|霊力・装飾・芸術の神格
伊欺許理度売命のご神徳は、以下のように多岐にわたります。
ご神徳 | 内容 |
---|---|
玉造・宝飾 | 勾玉や装身具、呪具の守護神 |
巫女・神事 | 巫女神として、祈祷・神事・女性の霊性を守る |
芸術性 | 玉の美しさや工芸性を象徴する神 |
縁結び・安産 | 玉に宿る霊力が、縁結びや子宝の象徴とされる地域もある |
◆ 伊欺許理度売命を祀る主な神社
伊欺許理度売命を主祭神とする神社は少ないものの、
一部の玉造関係の神社や、五伴緒を祀る神社で信仰されています。
神社名 | 所在地 | 特徴 |
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玉作湯神社(たまつくりゆじんじゃ) | 島根県松江市玉湯町 | 玉造温泉に鎮座。勾玉信仰と深く関係 |
宗像大社(辺津宮) | 福岡県宗像市 | 勾玉に関わる神宝信仰と重なる要素あり |
霧島神宮(五伴緒の神を配祀) | 鹿児島県霧島市 | 天孫降臨の舞台にして五伴緒信仰の名残あり |
◆ 現代における信仰
伊欺許理度売命は、巫女神としての神聖性と、
玉(勾玉)という神宝の象徴を司ることから、
現代でも以下のような願いで信仰されています。
- お守りや勾玉を通じた厄除け・開運
- 女性の守護・精神性の高まりを祈願
- 芸術・クラフト・装飾業の繁栄祈願
◆ まとめ|玉とともに天から地に降りた巫女神
伊欺許理度売命は、
玉を携え、天から地へ神々の意志を運んだ巫女神として、
古代信仰の中でも特に霊的・装飾的な側面を色濃く持つ神です。
- 勾玉の守護神として、装飾・工芸の神格
- 天孫降臨を支えた重要な神の一柱
- 女性・霊性・祈祷に関わる巫女の象徴
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