神社巡りをしていると、よく見かける「天照大神(あまてらすおおみかみ)」や「スサノオノミコト(素戔嗚尊)」。
この二柱の神様には、実は深い家族関係と神話にまつわるドラマがあります。
今回は、日本最古の神話書『古事記』に登場する順番に沿って、天照大神とスサノオの関係をひもときながら、それぞれの神様が祀られている神社についてもご紹介します。
◆『古事記』の神話の中で|天照大神とスサノオの登場
『古事記』は、日本の国の成り立ちや神々の系譜が記された書物です。
その中で、天照大神とスサノオは**イザナギ神が禊(みそぎ)をしたときに生まれた三貴子(さんきし)**として登場します。
1. イザナギの禊から生まれる三貴子
黄泉の国から戻ったイザナギが、身体を清めるために川で禊を行ったとき、次の三柱の神が生まれました。
- 天照大神(あまてらすおおみかみ):左目を洗ったときに生まれる
- 月読命(つくよみのみこと):右目から生まれる
- スサノオ命(すさのおのみこと):鼻を洗ったときに生まれる
この三柱は「高天原(たかまがはら)を治める天照」「夜の国を治める月読」「海を治めるスサノオ」と、それぞれ役割が与えられました。
2. スサノオの乱暴と天岩戸(あまのいわと)神話
スサノオは母イザナミを慕って泣きわめき、最終的には高天原で乱暴を働きます。
- 田畑を壊す
- 神殿に糞をまく
- 機織り小屋に皮を投げ込む
このような行為に怒った天照大神は、天岩戸に隠れてしまいます。
太陽神である天照がいなくなることで、世界は暗闇に包まれ、神々は大いに困ります。
3. アメノウズメの踊りと、天照の再登場
天照を外に出すために、神々は天岩戸の前で相談を重ね、アメノウズメが踊りを披露し、賑やかな笑い声を聞いた天照が外の様子をうかがいます。
その隙に岩戸を開き、無事に天照大神は再び姿を現します。
これが「天岩戸神話」として広く知られる場面です。
4. スサノオの追放と英雄伝説
乱暴をはたらいたスサノオは、高天原を追放され、出雲の国へ向かいます。
そこで、有名な「ヤマタノオロチ退治」の神話が登場します。
スサノオは八つの頭と八つの尾をもつ大蛇「ヤマタノオロチ」を退治し、クシナダヒメを救出。
その際に、草薙剣(くさなぎのつるぎ)を手に入れ、のちに天皇家へ献上します。
◆天照大神とスサノオ|神社での祀られ方
● 天照大神が祀られる主な神社
- 伊勢神宮(内宮)[三重県伊勢市]
→ 日本の総氏神。天照大神を主祭神とする最も重要な神社。 - 天岩戸神社[宮崎県高千穂町]
→ 天岩戸神話の舞台とされる場所。 - 皇大神宮(全国の分祀)
→ 全国各地に分祀されている伊勢神宮の神様。
● スサノオが祀られる主な神社
- 出雲大社[島根県出雲市]
→ 主祭神は大国主命(スサノオの子孫)だが、スサノオも深く関係。 - 須佐神社[島根県出雲市]
→ スサノオを直接祀る神社で、「本当の御魂が眠る場所」とされる。 - 八坂神社[京都市東山区]
→ 全国の「祇園社」の総本社。スサノオを祀る神社として有名。
◆兄妹神のその後と神社信仰への影響
天照大神とスサノオは対照的な性格の神様として描かれますが、どちらも日本の神話体系において欠かせない存在です。
- 天照大神:太陽・秩序・正義の象徴
- スサノオ:自然・破壊・再生の神格をもつ
このように、両神は相反する役割を持ちながら、日本の天地創造や国づくりに深く関わっている神様なのです。
◆まとめ|神社巡りがもっと楽しくなる視点
神話を知ると、神社参拝がただの観光やお願いごとではなく、古代の日本人の信仰や世界観に触れる行為だとわかってきます。
- 鳥居をくぐるとき
- 天照大神やスサノオが祀られている神社に立ったとき
- 社殿に込められた意味を考えるとき
ぜひ、「あの神話の一場面だったんだな」と思い出してみてください。
今後も「神様図鑑シリーズ」として、月読命、大国主命、猿田彦命など、各神様の由来やエピソードを解説していきます。
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