【神様図鑑】玉姫命(たまひめのみこと)|清らかなる水の女神、安産と子授けの守護神

日本の神々の中には、古事記や日本書紀に直接登場しないものの、地域に根差した信仰を集め、深く人々の生活と結びついてきた神様が数多く存在します。

今回ご紹介する「玉姫命(たまひめのみこと)」もその一柱。
水や清浄、女性の守護を象徴する女神であり、特に安産・子授け・縁結びにご利益があるとして信仰されています。


◆ 玉姫命とは?

項目内容
神名玉姫命(たまひめのみこと)
読み方たまひめのみこと
神格清浄神、水神、女性守護神、安産の神
ご利益安産祈願、子授け、縁結び、婦人病平癒、心身浄化
主な神社玉前神社(千葉県)、玉姫稲荷神社(東京都)など

◆ 玉姫命の神話的背景と伝承

玉姫命は、『古事記』『日本書紀』には明確に登場しないものの、各地の神社の縁起や伝承の中で語られており、その姿は土地に生きる人々の願いと結びついた民間信仰の女神として広く知られています。

たとえば――

  • **千葉県長生郡一宮町の玉前神社(たまさきじんじゃ)**では、「玉依姫命(たまよりひめのみこと)」と同一視されることもあります。玉依姫命は神武天皇の母として知られ、命のつながりと母性の象徴とされています。
  • 東京都台東区の玉姫稲荷神社では、「玉姫大明神」として水や縁結びの女神として信仰されており、浅草地域の歴史と密接な関係をもっています。

つまり、玉姫命は“地域ごとの玉姫信仰”という形で多様に姿を変える神ともいえるのです。


◆ ご利益と信仰の特徴

玉姫命は、多くの場合、以下のようなご利益を持つ神様として信仰されています。

ご利益内容
👶 安産祈願お産の守護神として、妊婦さんの無事出産を願う信仰
🌸 子授け不妊に悩む人々からの厚い信仰を集める
💖 縁結び美しく清らかな女神として、男女の縁を結ぶ
🩺 婦人病平癒女性特有の病気の快癒や体調改善の祈願
💧 水と浄化湧水・井戸などの水神として信仰されることもあり、心身を清める力を持つとされる

◆ 玉姫命を祀る主な神社

◉ 玉前神社(千葉県長生郡一宮町)

  • 主祭神:玉依姫命(たまよりひめのみこと)
  • 概要:上総国一之宮として古くから信仰され、子宝・安産の神として女性参拝者が多く訪れます。
  • 特徴:社殿の正面が春分・秋分の日の太陽の昇る方向を向いている“レイライン上の神社”としても有名。

◉ 玉姫稲荷神社(東京都台東区)

  • ご祭神:玉姫大明神
  • 概要:浅草地域にある小さな社ですが、地元の人々に親しまれる“縁結びと子授け”の神社。
  • 特徴:境内に「願かけ地蔵」や「縁結びの玉」などがあり、若い女性や夫婦の参拝が多い。

◆ 玉姫命と「玉」の意味

「玉」とは、日本神話において霊力や魂、神聖なものの象徴とされてきた特別な言葉です。
玉姫命の「玉」は、

  • 魂(たま)の象徴としての“命の力”
  • 水玉のように清らかで神秘的な“浄化の象徴”
  • 美しさや女性性を表す“装飾的な意義”

などが重ね合わさったものであり、命をつなぐ女性の神としての力を示しています。


◆ まとめ|女性の祈りとともに生きる「玉」の女神

項目内容
神名玉姫命(たまひめのみこと)
神格女性守護神、安産・子授けの神、水神、縁結びの神
ご利益安産、子宝、縁結び、婦人病平癒、清めと浄化
主な神社玉前神社(千葉県)、玉姫稲荷神社(東京都)
象徴命・水・女性性・魂・母性・縁

玉姫命は、有名な神話に登場しなくても、人々の生活に根差したリアルな信仰の中で生きてきた神様です。
とくに女性たちが抱える悩みや願いにそっと寄り添い、命のつながりを見守ってきた存在として、静かながら強い力を宿しています。

もし、子宝や安産、心身の浄化を願うときがあれば、
どうかこの「玉の姫」に、そっと祈りを捧げてみてください。

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