「神大市比売(かむおおいちひめ)」は、日本神話に登場する豊穣と商業の女神。
その名前に「市(いち)」の文字があることからもわかる通り、
市場や経済活動に深く関わる神として古来より信仰されています。
また、大国主神(おおくにぬしのかみ)の母神とされ、
出雲神話の重要な系譜をつなぐ存在でもあります。
◆ 基本情報|神大市比売とは?
項目 | 内容 |
---|---|
神名 | 神大市比売(かむおおいちひめ) |
読み方 | かむおおいちひめ/かみおおいちひめ |
系譜 | 大山津見神(おおやまつみのかみ)の娘/大国主神の母 |
神格 | 商業神・市場神・農業神・母性神 |
ご神徳 | 商売繁盛・五穀豊穣・経済繁栄・家内安全・子育て安産 |
◆ 「市(いち)」の神=経済の守り神
「市(いち)」とは、古代における市場・交易の場を指します。
神大市比売の名には、「大いなる市の比売神(女性神)」という意味が込められており、
商売の場や経済の流通を支える神として古代から信仰されてきました。
現代でいえば、スーパーマーケットや商店街の守り神とも言える存在です。
◆ 母としての側面|大国主神の母神
神大市比売は、出雲神話の主役・大国主神(おおくにぬしのかみ)の母とされています。
父は一般的に素戔嗚尊(すさのおのみこと)または葦原醜男(あしはらしこお)とする説があります。
この系譜により、彼女は単なる市場の神というだけではなく、
豊かな命を産み出す「母なる大地」的な神格としても信仰されます。
◆ ご神徳と信仰の広がり
ご神徳 | 内容 |
---|---|
商売繁盛 | 商業の神として、市場や店舗の守護神 |
豊穣・収穫 | 大地の恵み・作物の実りを与える |
経済繁栄 | 物と人の流れを司る |
家内安全 | 母神として家庭円満を守る |
子授け・安産 | 大国主神を育てた母神としてのご利益 |
◆ 神大市比売を祀る主な神社
神社名 | 所在地 | 特徴 |
---|---|---|
宇賀神社 | 滋賀県長浜市 | 市神としての信仰が強く、地元商人に崇敬されている。 |
大市神社(おおいちじんじゃ) | 全国各地にあり | 多くは神大市比売を主祭神または配祀神として祀る。 |
出雲大社の摂社・末社 | 島根県出雲市 | 大国主神の母として祀られることもある。 |
「市神(いちがみ)」として地元の市場を守る神社や祠の中にも、
神大市比売を祀る場所が日本各地に存在します。
◆ 豆知識|大山津見神の娘たち
神大市比売は、山の神・大山津見神の娘とされており、
他にも有名な姉妹神として以下の神々がいます。
- 木花咲耶姫(このはなさくやひめ)
- 石長比売(いわながひめ)
彼女たちは自然の生命力や美しさ、永遠性を象徴する女神たちであり、
神大市比売は「経済」や「生活」を支える姉妹神として位置づけられます。
◆ まとめ|生活の足元を支える“経済の女神”
神大市比売は、神話のなかで大きな活躍をするわけではありませんが、
私たちの暮らしに欠かせない「経済」や「食」を支える大切な神様です。
市場のにぎわい
食卓の豊かさ
商売の繁盛
――これらすべてが、神大市比売のご加護によるものかもしれません。
神社にお参りに行く際は、「表舞台に立たない生活の神々」にも
静かに手を合わせてみてはいかがでしょうか?
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