— 南朝方の名将・北畠親房父子を祀る、伊勢一帯の歴史聖地 —
三重県津市美杉町(旧・美杉村)にある北畠神社は、南北朝時代に活躍した南朝方の重臣、**北畠親房(きたばたけ ちかふさ)**と、伊勢でその勢力を大きくした息子 北畠顕家(あきいえ) を主祭神とする神社です。
北畠氏の館跡である国指定史跡「北畠氏館跡庭園(北畠氏庭園)」に隣接し、歴史的風情と自然の美しさが一体となった名所として知られています。
■ 北畠神社とは?
北畠神社は、南北朝時代に南朝方の中心人物として活動した北畠親房と北畠顕家を祀る古社です。
北畠氏は伊勢国司として当地を治め、室町時代に至るまで約240年もの間、この地域で強い影響力を持ち続けました。
● 主祭神
- 北畠親房命(きたばたけ ちかふさ のみこと)
後醍醐天皇の側近として建武政権を支えた政治家・公家。
名著『神皇正統記』を著し、南朝正統論の基礎を築いた。 - 北畠顕家命(きたばたけ あきいえ のみこと)
和田の戦い、奥州での戦いなど数々の武功を挙げた天才軍略家。
若くして戦死したが、その勇名は今も高く評価されている。
南朝方ゆかりの地として、歴史好きや武将ファンに特に人気の高い神社です。
■ 北畠神社の歴史
◇ 南朝の拠点としての伊勢北畠氏
建武政権崩壊後、北畠親房は伊勢へ下向し、当地で南朝の再興を図りました。
息子・顕家は奥州からの帰路に支援活動を展開し、南朝勢力の柱として活躍しました。
北畠神社の周辺は、南北朝時代の重要な軍事・政治拠点であり、現在も当時の面影を残しています。
◇ 北畠氏館跡(国指定史跡)
神社の背後には、国指定史跡である「北畠氏館跡庭園」が広がります。
室町時代に作庭された庭園は、武家庭園として貴重で「名勝」にも指定されています。
苔むした石組、池泉回遊式の庭園、周囲の山々が四季を映す景観は、まさに戦国武家文化の静けさと品格を感じさせます。
■ 見どころ
◇ ① 北畠氏庭園(国指定名勝)
北畠神社の魅力の中心ともいえるのが、この美しい庭園。
- 池泉回遊式庭園
- 室町時代の武家文化の象徴
- 春は桜、秋は紅葉、冬は雪景色も美しい
- 北畠氏の雅と武の息遣いが残る
歴史的にも芸術的にも非常に評価の高い名庭です。
◇ ② 北畠親房・顕家の顕彰碑
境内には、親房・顕家の功績を讃える碑が建ち、南朝の歴史を学ぶことができます。
特に顕家公は若き軍才として今もファンが多く、武将好きにとっては聖地的な場所です。
◇ ③ 美杉の大自然と一体化した境内
美杉町は自然豊かで、神社の周囲は山々と清らかな空気に包まれています。
四季の変化が美しく、参拝する季節によって印象が大きく変わるのも魅力です。
- 春:桜が美しい
- 夏:深緑がまぶしい
- 秋:紅葉の名所
- 冬:静寂の雪景色
歴史探訪に自然美が加わり、特別な参拝体験ができます。
◇ ④ 隣接の「北畠氏館跡庭園資料館」
北畠氏の歴史、庭園の成り立ち、南朝文化などが学べる資料館。
武家文化研究には特におすすめのスポットです。
■ 年間行事
- 例大祭:4月19日
地域を挙げて行われる大祭で、多くの参拝客が訪れる。 - 秋季大祭:10月
紅葉の季節で人気の高い祭礼。 - 庭園ライトアップイベント(不定期)
夜間の幻想的な北畠庭園が楽しめる催し。
■ アクセス
所在地:三重県津市美杉町上多気1148
- JR名松線「伊勢奥津駅」から車で約15分
- 近鉄「榊原温泉口駅」から車で約40分
- 伊勢自動車道・久居ICから約50分
- 神社周辺は山間部のため、車でのアクセスがおすすめ
観光の場合は、北畠氏庭園とセットで訪れるのが定番コースです。
■ まとめ
北畠神社は、南北朝の動乱を駆け抜けた北畠親房・顕家を祀る歴史神社であり、
隣接する国指定名勝「北畠氏庭園」も含め、歴史と自然が一体となった魅力的なスポットです。
- 南北朝時代に興味がある
- 名庭園を巡りたい
- 歴史ロマンを感じられる神社を訪れたい
そんな方に心からおすすめしたい神社です。
美杉の美しい自然に包まれながら、南朝を支えた名将たちの志に想いを馳せる参拝旅を楽しんでみてください。


コメント