【神社めぐり】中山神社(岡山県津山市)

今回ご紹介するのは、岡山県津山市に鎮座する中山神社。美作国の一宮として知られ、古代よりこの地域の信仰の中心であり続けた神社です。

■御祭神

鏡作神

鏡作神は、三種の神器のひとつ「八咫鏡」を作った神として知られています。鏡という存在は、古代日本では単なる道具ではなく、霊的象徴・権威の象徴という意味が非常に強いものでした。その「鏡を造る神」を祀る中山神社は、まさに権威や呪術的な神聖性の根が深い神社といえます。

■社伝と由緒

創建は飛鳥時代と伝えられ、国司・豪族・朝廷からの崇敬も厚かったとされています。美作国の成立自体が奈良時代であることを考えれば、この「美作国以前」の時代から信仰があった可能性も十分に指摘されており、古層の匂いを持った一社といえます。

中山神社は一宮としての格式が非常に高く、延喜式神名帳にも名を連ねる式内社でもあります。古代より祭祀の中心地であった事がよく分かります。

■不思議性のある話

鏡作神が祀られているという事自体がひとつの大きなミステリー的存在感を持っています。

八咫鏡は天皇家と深く関係する神器であり、それを製作した神が美作に祀られているというのは、単なる地区守護を超えた歴史的背景を想像させます。古代、この地域で鏡製作が行われていた可能性を指摘する説もあります。古代鉄製文化、金属加工の文化圏にあった場所である事を思えば、この神社は単なる「祀り」だけでなく、古代技術者集団との繋がりの痕跡ではないか、とも言われています。

また、境内では鏡を連想させるような円形・反射・光を意識した意匠が複数見られ、神社自体が「鏡」を中心テーマとして守り伝えてきた事を感じさせます。

■見どころ

・堂々とした拝殿と本殿
中山造という特殊な様式の本殿は、国指定重要文化財となっており建築史的にも高い価値があります。美作ならではの造形を、間近に見られる貴重な地です。

・広く静かな境内空間
市街地からそれほど離れてはいないものの、境内は深い静寂を感じる空気があり、古代からの宗教的中心地という雰囲気をそのまま残しています。

■まとめ

中山神社は美作国一宮としての格式と、鏡作神を祀るという神話的・古代技術史的な謎めいた背景を併せ持つ神社です。歴史・建築・神話・古代技術に関心がある方にこそぜひ訪れてほしい一社です。

津山市方面へ行く際には、ぜひ参拝予定に組み込んでみてください。

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