【神社めぐり】伊佐須美神社(福島県・会津美里町)

福島県会津美里町に鎮座する伊佐須美神社(いさすみじんじゃ)は、会津地方の総鎮守として古代から篤い信仰を集めてきた名社です。会津という土地の歴史そのものと深く関わり続けた神社で、延喜式神名帳にも名を残す式内社。東北地方を語る上でも欠かせない存在といえます。

■御祭神

伊佐須美神社の御祭神は次の四神。

伊弉諾尊
伊弉冉尊
大毘古命
建磐龍命

特に建磐龍命は会津の開拓・守護神として信仰され、大毘古命は大和朝廷の勢力拡大と関連する神。加えて日本神話の源流たるイザナギ・イザナミを祀る事から、天地・民族・国土生成の根源信仰が重層化している神社です。

■由緒・歴史的背景

社伝によれば創建はなんと紀元前頃と伝わる非常に古社で、会津地方がまだ明確な政治組織形成以前の段階から信仰の中心が置かれていた可能性が示唆されています。

古代、会津は東国支配における拠点でもあり、蝦夷との境界文化圏でもありました。その中で伊佐須美神社が「会津の守護」として存在し続けた事は、国家形成期の宗教・政治の関係が読み取れる興味深い要素となります。

中世以降も武家・豪族の崇敬が続き、会津藩においても特別な祭祀対象として扱われました。

■不思議性のある話・特色

伊佐須美神社は何度も火災に遭い、本殿が焼失した歴史を持っています。直近でも平成20年に火災が発生し、本殿が消失。しかしそれでも参拝客が絶えず、人々が信仰を護り続けている点は、この神社の精神性の強さを示す象徴だと感じます。

そして会津地方には「この神社の加護で稲作が安定した」という古い伝承が多く、地域生活に密接につながっていた信仰であった事が分かります。

■見どころ

再建の途上という“歴史が続いている”現場性
伊佐須美神社は現在も本殿再建を長期的に進めています。この過程自体を目の当たりにできる事は、古社の「今」を見る貴重な瞬間です。

・広く落着いた境内と池
境内の自然が美しく、四季ごとに表情を変えます。特に花の季節は参拝者も多く、会津の文化・信仰・生活と神社の繋がりを強く感じられる時間になります。

・会津文化と神社信仰の中心地としての性格
歴史好き、神道研究をする人にとっては非常に重要な“現地資料”とも言える場です。

■まとめ

伊佐須美神社は、会津地方の古代信仰と歴史の中核を担ってきた神社です。神話の創生神から地域開拓神まで、複数の神格が重なり合うことで「土地の起源」そのものを祀る聖地となっています。

会津を語るなら、まずここ。
この神社は「地域の歴史そのものを参拝する」体験ができる極めて貴重な一社です。

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