【神社めぐり】伊曽乃神社~いざなうような静かな気配と「西条まつり」の魂を内に宿す社(愛媛県)

今回紹介するのは、愛媛県西条市に鎮座する伊曽乃神社。
西条と言えば秋の「西条まつり」が全国的に有名だが、その中心にあるのがこの伊曽乃神社である。西条市民の精神的な核といえるほど深い信仰を現在まで保つ古社だ。

主祭神は大国主命と妃神の三穂津姫命。
縁結び、産業・国土開拓、守護を象徴する組み合わせの御祭神である。

■ 古代からの信仰と式内社としての格式

伊曽乃神社は延喜式内社に名が見られる、古くからの著名な神社。
社伝によれば創建は非常に古く、国造り神話の頃にまで遡ると伝えられる。ただ、具体年代表記よりも、古代から地域の中心的信仰の場所だったという事が重要で、実際この西条の地で古くから続いてきた歴史深い神社であることは数々の文献や伝承、また中世以降の祭礼の継続からも裏付けられる。

境内は静謐で、拝殿や社殿の佇まいは愛媛の中でも特に古社らしい端正な雰囲気。
伊予国の中でも格式を有した社の一つと言える。

■ 西条まつりの中心となる神社

伊曽乃神社を語る上で欠かせないのが「西条まつり」。
毎年10月に行われる例大祭で、多数のだんじりが各地から出て、奉納され、街全体が熱気に包まれる。

この祭りは単なる観光イベントではなく、神社本来の信仰と結びついた「神幸祭」であるのが特徴である。伊曽乃神社の御神徳に対する地域一体の祈りと感謝の形が現在も変わらず続く。その歴史の厚みを実体験できるのがこの神社の最大の魅力といってよい。

■ 御神体が「鏡」である点も特徴

伊曽乃神社では鏡が神体として祀られている。
大国主命と三穂津姫命を象徴する「鏡」そのものが御神体であるという在り方は、日本の古神道における原初的な神祀りの形を強く残していると言える。

神話的・象徴的な意味だけでなく、古代からの信仰様式をそのまま見ることができるという点で、とても興味深い神社だ。

■ まとめ

伊曽乃神社は、歴史の古さだけでなく、地域で「生き続けている」信仰の姿を今も体感できる神社。

・延喜式内社の格式
・大国主命と三穂津姫命を祀る古代的信仰
・御神体としての鏡の存在
・西条市民の魂ともいえる西条まつりの中心

こうした多層的な意味を持つ神社は、全国的に見ても数は多くない。

西条に行くなら、祭りの時期でなくても、ぜひ足を運んで境内の空気を味わってほしい。静かに佇む社殿から、古代から今日まで続いてきた人々の祈りの時間そのものが感じられる。

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