【神社めぐり】佐賀県唐津市|田島神社(たしまじんじゃ)~玄界灘を望む海の総鎮守、松浦地方最古の大社~

◆はじめに

佐賀県唐津市呼子町に鎮座する「田島神社(たしまじんじゃ)」は、松浦地方最古の神社とされ、古くから「玄界灘の総鎮守」として信仰を集めてきた名社です。
呼子大橋を渡る手前の高台に鎮座し、眼下には美しい海が広がります。海上安全、豊漁祈願の神として、古代より海人や漁師たちの厚い信仰を受けてきました。

また、延喜式神名帳にも名を連ねる式内社であり、歴史的にも非常に古い由緒を持ちます。
唐津・呼子を訪れるなら一度は立ち寄りたい、神秘と歴史の調和した聖地です。


◆神社の概要

  • 名称:田島神社(たしまじんじゃ)
  • 鎮座地:佐賀県唐津市呼子町加部島3956-1
  • 社格:式内社/旧県社
  • 御祭神
    • 豊玉姫命(とよたまひめのみこと)
    • 鴨玉依姫命(かもたまよりひめのみこと)
    • 玉依姫命(たまよりひめのみこと)
  • 創建:不詳(神代または奈良時代以前)
  • 別称:玄界灘総鎮守・加部島大明神

◆御祭神とその神徳

主祭神は豊玉姫命(とよたまひめのみこと)
海神である綿津見大神(わたつみのおおかみ)の娘神であり、海を司る女神として知られています。

神話によれば、豊玉姫命は彦火火出見尊(山幸彦)との間に鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)をもうけ、
その孫が初代天皇・神武天皇とされるため、皇祖神の母方の神にあたります。

そのため田島神社は、海の守護神であると同時に、皇室とも深い関わりをもつ神社として古代から特別な地位を保ってきました。

また、配祀されている鴨玉依姫命・玉依姫命も、水の神格をもつ女神であり、
総じて「海上安全・漁業繁栄・縁結び・安産守護」のご利益があるとされています。


◆田島神社の歴史

田島神社の創建は極めて古く、明確な記録は残っていませんが、
奈良時代の『延喜式神名帳』(927年)に**「肥前国松浦郡 田島神社」**として記載されており、
当時すでに朝廷から「式内社」として認められていたことがわかります。

古代、松浦の海域は北九州と朝鮮半島を結ぶ重要な航路に位置しており、
田島神社は航海安全・国家鎮護の祈願所として崇敬を集めました。

中世以降も松浦氏や唐津藩主らの崇敬を受け、近世には「加部島大明神」として地域の総鎮守となりました。
明治以降は県社に列格し、現在も地元の漁業者や海上関係者の信仰の中心となっています。


◆見どころ

◇雄大な海を望む神域

田島神社の魅力は、なんといってもその立地。
加部島の高台にあり、境内からは玄界灘を一望することができます。
青い海と白い社殿のコントラストが美しく、特に晴天の日は絶景。

朝日や夕日を背景にした社殿の姿はまさに神々しく、まるで豊玉姫命が今も海から訪れているような雰囲気です。


◇壮麗な社殿と伝統建築

現在の社殿は昭和初期に再建されたもので、入母屋造りの荘厳な造り。
本殿には神話に登場する海神の象徴が施され、海を護る神社らしい装飾が随所に見られます。

また、境内には古い狛犬や石灯籠が点在し、
海風を受けながらも風化しないその姿は、まるで海の守護者のような存在感を放っています。


◇田島神社の鳥居と参道

鳥居は海を背に建てられており、海からの風が吹き抜ける参道はとても清々しい気配に満ちています。
鳥居越しに海を眺めると、まるで“海と神が繋がっている”ことを感じさせる絶景ポイントです。

特に朝方の参拝では、潮風とともに神秘的な光に包まれ、心身が浄化されるような感覚を味わえます。


◇伝統行事「呼子大綱引き」

毎年6月に行われる「呼子大綱引き」は、田島神社の御神事として知られています。
豊漁祈願と地域繁栄を願うこの行事は、約400年以上の歴史を持ち、国の重要無形民俗文化財にも指定。
町中に響く掛け声とともに、大綱を引き合う姿はまさに圧巻で、田島神社の神威を感じられる瞬間です。


◆ご利益

田島神社の主なご利益は以下の通りです。

  • 海上安全・航海守護
  • 豊漁祈願・商売繁盛
  • 安産・子宝
  • 縁結び
  • 家内安全・交通安全

地元の漁師や船乗りたちは出港前に必ず参拝し、航海の安全を祈願します。
また、豊玉姫命が母性の象徴とされることから、女性の守護神としての信仰も篤い神社です。


◆アクセス情報

  • 所在地:佐賀県唐津市呼子町加部島3956-1
  • アクセス
    JR唐津駅から昭和バス「呼子行き」→「呼子」下車後、車または徒歩で約10分
    呼子大橋を渡ると加部島に入ります。
  • 駐車場:あり(無料)

◆まとめ

田島神社は、古代から玄界灘を見守り続ける“海の女神の聖地”。
松浦地方最古の格式を誇り、航海安全や豊漁祈願、安産、縁結びなど幅広いご利益を授けてくれます。

海を背にした神域はまさに“天と海をつなぐ場所”。
その清らかな風と光の中に立てば、自然と心が整い、日常の雑念がすっと消えていくような感覚を覚えます。

呼子観光の折には、ぜひ田島神社に足を運び、
海と神のエネルギーに満ちたこの地で、古代から続く祈りの歴史を感じてみてください。

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