日本全国には約8万の神社が存在しますが、その中でも「国宝」に指定される建造物を持つ神社はごくわずか。
それは、日本の建築美術・精神文化・宗教的遺産の結晶とも言える存在です。
本記事では、国宝を有する代表的な神社を厳選してご紹介します。
歴史と信仰が重なるその姿は、まさに“日本の心”を映す鏡です。
■国宝とは?
「国宝」とは、文化財保護法に基づき、日本国が指定した最も重要な文化財です。
建造物、美術工芸品などが対象ですが、神社では主に本殿・拝殿・楼門などの建築物が指定されています。
■代表的な国宝を持つ神社一覧(抜粋)
神社名 | 所在地 | 国宝指定の建物 | 創建 | ご祭神 |
---|---|---|---|---|
宇治上神社 | 京都府宇治市 | 本殿・拝殿 | 平安時代 | 応神天皇など |
賀茂別雷神社(上賀茂神社) | 京都市北区 | 本殿・権殿 | 奈良時代 | 賀茂別雷命 |
賀茂御祖神社(下鴨神社) | 京都市左京区 | 本殿・権殿 | 古墳時代以前 | 賀茂建角身命ほか |
石清水八幡宮 | 京都府八幡市 | 本殿・拝殿など | 平安時代 | 応神天皇など |
宮浦神社(厳島神社) | 広島県廿日市市 | 本殿・拝殿・回廊など17棟 | 593年(推古天皇元年) | 市杵島姫命ほか |
彦根天満宮 | 滋賀県彦根市 | 本殿 | 江戸時代 | 菅原道真公 |
出雲大社 | 島根県出雲市 | 本殿(1744年再建) | 神代 | 大国主大神 |
■注目の神社紹介①|宇治上神社(京都府)
◯ 国宝指定:本殿・拝殿(日本最古の神社建築)
平安時代に建立されたとされる宇治上神社の本殿は、現存する最古の神社建築といわれています。
檜皮葺きの屋根、素朴な意匠ながら、静謐な空気に包まれる空間が魅力。
項目 | 内容 |
---|---|
所在地 | 京都府宇治市宇治山田 |
ご祭神 | 菟道稚郎子命(うじのわきいらつこのみこと)など |
見どころ | 湧水「桐原水」や宇治川との調和 |
■注目の神社紹介②|厳島神社(広島県)
世界遺産にも登録されている「厳島神社」は、海上に浮かぶ朱塗りの社殿が特徴。
平清盛によって整備された社殿群のうち、17棟が国宝に指定されています。
項目 | 内容 |
---|---|
所在地 | 広島県廿日市市宮島町 |
ご祭神 | 市杵島姫命・田心姫命・湍津姫命(宗像三女神) |
見どころ | 大鳥居、回廊、能舞台、干潮と満潮の風景変化 |
夕暮れ時のライトアップや朝霧の中の社殿は、まさに幻想的な“神の世界”そのものです。
■注目の神社紹介③|上賀茂神社・下鴨神社(京都)
「賀茂氏」の氏神を祀る二つの神社は、どちらも国宝建築を有し、**葵祭(あおいまつり)**で有名。
両社とも世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産です。
- 上賀茂神社(賀茂別雷神社):雷の神を祀る、京の守護神的存在
- 下鴨神社(賀茂御祖神社):原始の森「糺の森」に囲まれた神秘の社
■なぜ神社建築が国宝に選ばれるのか?
- **日本古来の建築様式(神明造・流造・権現造など)**が継承されている
- 時代背景を反映する歴史的価値
- 社殿が自然と一体化している芸術的価値
- 信仰の継続が文化遺産として評価されている
■まとめ|“祈り”と“美”が重なる、日本の神社国宝
国宝建築を有する神社は、日本人の“祈りの歴史”そのもの。
そこには、ただ美しいだけでなく、長い時を超えて護られてきた精神と文化の重みがあります。
次回のお参りでは、ぜひ「国宝の社殿」にも目を向けてみてください。
その空間に一歩足を踏み入れるだけで、千年の時と対話できるような感覚に包まれることでしょう。
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