■ 天照大神が隠れた「天岩戸伝説」の舞台
宮崎県西臼杵郡高千穂町に鎮座する天岩戸神社(あまのいわとじんじゃ)は、『古事記』『日本書紀』に登場する天岩戸伝説の舞台と伝えられる神社です。
天照大神(あまてらすおおみかみ)が弟・須佐之男命(すさのおのみこと)の乱暴を嘆き、天岩戸(洞窟)にお隠れになったことで、世界が闇に包まれた――という神話は誰もが知る日本神話の代表的エピソード。その「天岩戸」が実際にあると伝わるのが、この天岩戸神社です。
境内は古代神話の気配が今も残る荘厳な空気に包まれ、全国から多くの参拝者・神話ファンが訪れます。
■ 神社の由緒と御祭神
- 主祭神(西本宮):天照大神(あまてらすおおみかみ)
- 主祭神(東本宮):天照大神が天岩戸から出られた後のお姿(御霊)
天岩戸神社は、実は東本宮と西本宮の二社から成り立っています。
- 西本宮は、天照大神が隠れられた「天岩戸」を御神体として祀る神社。
- 東本宮は、岩戸から出た後に天照大神が移られたとされる地に建てられています。
この二社は「隠」と「顕」、「夜」と「昼」を象徴し、神話の中で“闇から光が戻る瞬間”を空間として体現しているのです。
■ 天岩戸伝説 ― 光を取り戻す神々の物語
『古事記』によれば、須佐之男命の乱行に怒った天照大神は天岩戸に籠もってしまい、世の中は闇に包まれました。困り果てた八百万の神々は、**天安河原(あまのやすかわら)**に集まり、相談を始めます。
天鈿女命(あめのうずめのみこと)が神楽を舞い、神々が笑い声を上げると、天照大神が不思議に思い岩戸を少し開けた瞬間、**手力男命(たぢからおのみこと)**が岩戸を押し開け、再び光が世に戻った――。
この神話は「太陽の再生」や「秩序の回復」を象徴し、今も日本文化の根幹に息づいています。
天岩戸神社はまさにその**“神話の光が甦った場所”**なのです。
■ 見どころ
● 天岩戸(あまのいわと)
西本宮の拝殿から、宮司の案内を受けてのみ「天岩戸」を拝観することができます。社務所に申し出ると、案内の方が境内奥へ案内してくださり、神域を望む特別な体験ができます。
神話の舞台を直接目にする瞬間は、言葉にできない神聖さを感じるでしょう。
● 天安河原(あまのやすかわら)
天岩戸神社の西本宮から川沿いを歩くこと約10分、天照大神が隠れた際に八百万の神々が集まって相談をした場所と伝えられる「天安河原」があります。
ここには無数の「願掛け石」が積まれ、幻想的な雰囲気を漂わせます。神話の現場に立つと、古代の神々の息吹が今も流れているように感じられるでしょう。
● 東本宮
西本宮からさらに山道を上ると、静寂に包まれた「東本宮」があります。人も少なく、木々のざわめきの中に神秘的な気配が漂います。天照大神が“再び世に出られた後”の姿を祀ることから、「再生」「復活」「新たな出発」を願う人々に人気です。
■ ご利益
天照大神を祀る天岩戸神社は、
- 開運招福
- 再生・復活
- 光明・希望
- 厄除け・災難除け
などのご利益があるとされます。
また、岩戸を開いた神話にちなんで「閉ざされた運を開く」ご神徳があるともいわれ、就職・進学・挑戦など、新しい道を切り開きたい人に特に人気の神社です。
■ アクセス情報
- 所在地:宮崎県西臼杵郡高千穂町岩戸1073-1
- アクセス:高千穂バスセンターから車で約10分
- 駐車場:あり(無料)
- 参拝時間:拝観自由(岩戸見学は9:00〜16:00頃)
- 周辺スポット:天安河原、高千穂神社、高千穂峡
■ まとめ:神話の光が息づく「再生の聖地」
天岩戸神社は、単なる観光地ではなく、**「闇の中から光が戻った」**という壮大な神話を今に伝える聖域です。
天照大神が隠れ、神々が協力して光を取り戻した――その物語は、私たちの日常の中にも通じる「希望と再生」の象徴。
実際に天岩戸や天安河原を歩くと、神話が遠い昔の話ではなく、“今も続く世界の物語”であることを感じられます。
光を求め、何かを新しく始めたいとき、天岩戸神社はきっとあなたに力を与えてくれることでしょう。


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