福岡県太宰府市に鎮座する**大宰府天満宮(だざいふてんまんぐう)**は、全国約12,000社ある「天満宮」の総本宮として知られる神社です。
「学問の神様」として学生や受験生を中心に篤い信仰を集めており、春には梅の花が咲き誇る景勝地としても有名です。
住所:〒818-0117 福岡県太宰府市宰府4丁目7−1
電話:092-9228225
社務所:8:30~
公式HP:http://www.dazaifutenmangu.or.jp/
Wiki:太宰府天満宮
主祭神:菅原道真公
社格:官幣中社、式内社
創建:905年
本殿:五間社流造
■ 大宰府天満宮の起源と歴史
大宰府天満宮の起源は、平安時代の学者・政治家であった菅原道真公の悲劇にさかのぼります。
道真公は、優れた学識と誠実な人柄で朝廷から信頼を得ていましたが、藤原氏の陰謀によって無実の罪を着せられ、京都から遠く離れた大宰府に左遷されてしまいます。
その地で失意のまま亡くなった道真公を、人々は深く哀れみ、亡骸を牛車に乗せて葬送しました。
ところが、牛がある場所で動かなくなったため、「これが天の御心であろう」としてその地に埋葬され、後にその墓所の上に建てられたのが大宰府天満宮のはじまりです。
■ 「飛梅伝説」~京の梅が道真公のもとへ~
大宰府天満宮には有名な逸話があります。
それが「飛梅(とびうめ)」伝説です。
京都を離れる際、道真公がこよなく愛した庭の梅にこう詠みかけたと伝えられています。
東風(こち)吹かば 匂ひおこせよ 梅の花
主なしとて 春を忘るな
この歌を聞いた梅の木が道真公を慕い、
なんと空を飛んで大宰府までやってきたというのです。
その梅の木が、現在も境内の御本殿前に立つ「飛梅」と呼ばれる神木で、春になると白い花を咲かせます。
■ 社殿と建築の見どころ
現在の本殿は、1591年(天正19年)に豊臣秀吉の命により造営されたもので、
豪華な桃山様式を今に伝える荘厳な社殿です。
また、参道や境内には数多くの見どころがあります。
- 心字池(しんじいけ)
神橋が「過去・現在・未来」を象徴し、三つの橋を渡ることで心が清められるといわれます。 - 御神牛(ごしんぎゅう)
道真公が牛にゆかりが深いことから、境内には牛の像が多くあります。
特に「撫で牛」は、頭を撫でると知恵を授かる・体を撫でると病が治ると伝わります。 - 梅園・宝物殿
約200種・6,000本の梅が植えられ、春には「梅まつり」が開催。
宝物殿には、道真公ゆかりの品や古文書が展示されています。
■ 菅原道真公の神格化と信仰の広がり
道真公の死後、京の都では雷や火災などの天変地異が続き、
人々は「これは無実の罪で亡くなった道真公の祟りではないか」と恐れました。
そのため、朝廷は彼を「天満大自在天神(てんまんだいじざいてんじん)」として祀り、
以後「天神さま」として全国に信仰が広がります。
やがて、「学問」「文道」「芸能」の神として崇められ、
現在では受験合格祈願の代名詞的な存在となっています。
■ 大宰府天満宮のご利益
- 学業成就・受験合格
- 知恵授与・才能開花
- 商売繁盛・仕事運向上
- 厄除け・病気平癒
特に受験シーズンには、全国から多くの学生や家族が参拝に訪れ、
絵馬やお守りにはそれぞれの願いが込められています。
■ 年中行事とお祭り
- 梅花祭(2月25日)
菅原道真公の命日にあたる日で、飛梅の開花とともに行われる華やかな神事。 - 曲水の宴(3月)
平安時代の雅な儀式を再現し、和歌を詠みながら酒杯を流す伝統行事。 - 千灯明(8月)
境内に無数の灯明がともり、幻想的な雰囲気に包まれる夏の祭典。
■ アクセスと周辺観光
- 最寄駅:西鉄太宰府線「太宰府駅」から徒歩約5分
- 周辺スポット:
- 九州国立博物館
- 光明禅寺(苔庭が美しい禅寺)
- 太宰府天満宮参道(梅ヶ枝餅の名店が並ぶ)
特に名物「梅ヶ枝餅(うめがえもち)」は、参拝後にぜひ味わいたい逸品です。
焼きたての香ばしい餅の中に、優しい甘さの餡が詰まっています。
■ まとめ
大宰府天満宮は、ただの学問祈願の神社ではなく、
「誠の心を貫いた一人の人間・菅原道真公」の生きざまを今に伝える場所です。
理不尽な運命に翻弄されながらも、学問と正義を信じ続けたその精神は、
現代を生きる私たちにも深い感動と勇気を与えてくれます。
春には梅、夏には緑、秋には紅葉、冬には静寂と、
四季を通じて心を癒す神域――。
太宰府を訪れることは、知恵と真心に触れる旅でもあります。
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