【神社めぐり】宮城県「塩竃神社」 東北を守護する鹽土老翁神の聖地

今回は宮城県塩竈市に鎮座する「塩竃神社」をご紹介します。国指定重要文化財の社殿を有し、東北地方の総鎮守と呼ばれるほど、古くから篤い信仰を集めてきた大社格の神社です。

■ 主祭神

主祭神は鹽土老翁神(しおつちのおじ)。配祀として武甕槌神、経津主神を祀ります。

鹽土老翁神は、記紀神話では海路を導き、また多くの神々に航海・造船などを教え導いたとされる神です。とりわけ「東北の開拓・海路指導」を司ったと伝わる神であり、この塩竃神社は「東北開拓の祖神」を祀る場所として古来より崇敬されてきました。

■ 歴史と由緒

創建年代は明確ではありませんが、社伝では古代よりこの地に祀られ、平安時代の「延喜式」にもその名が記録されています。

また、武甕槌神と経津主神が東北を平定したとされる神話において、鹽土老翁神はその道案内役として大きな役割を果たしたと伝えられています。そのためこの神社では、三柱が揃って祀られている点が非常に特徴的です。

中世以降は仙台藩伊達家からも篤い崇敬を受け、特に伊達綱村公によって大規模な整備が行われました。現在の社殿群も元禄年間の造営で、これが国の重要文化財となっています。

■ 見どころ

・表参道の202段の石段
麓から本殿まで続く長い石段は、この神社の象徴的存在です。登り切った先の清らかな空気が、この神社が特別な力を持つ場所である事を体感させます。

・国重要文化財の社殿
元禄八年造営の荘厳な社殿群は、伊達文化の粋が濃く反映されています。装飾が美しく、唐破風や彫刻も見応えがあります。

・鹽竈神社博物館
伊達家献納の品々や古文書、神宝なども整理・展示されています。東北の信仰史を見るうえでも重要な資料群です。

■ 不思議な話・信仰の広がり

この神社は古くより「海の安全」「航海守護」の信仰が最も強く、江戸期以降は漁業者の守護神として、さらには商売繁盛の御利益でも広まりました。

また、鹽土老翁神は「塩づくりの神」としても伝わり、塩竈の地名そのものの由来とも深く関係しています。地方の地名そのものに神の名が浸透しているという点は、この神社の信仰の根深さ、古さを象徴していると言えるでしょう。

■ まとめ

塩竃神社は東北の海と歴史の中心にあり続けた重要な神社です。海と人を導いた神を祀る場所として、長い歴史の中で地域を守り続けてきました。

仙台周辺を訪れる機会があるならば、この「東北総鎮守」の神気に触れる旅路は、必ず得られるものが大きいと思います。

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