【神社めぐり】徳島県「大麻比古神社」 阿波国一宮に祀られる大麻の神

今回は徳島県鳴門市に鎮座する「大麻比古神社」をご紹介します。こちらは阿波国一宮として古くから崇敬を集め、四国の中でも特に「古層」を強く感じられる神社の一つです。

主祭神は大麻比古大神、配祀神として猿田彦大神をお祀りしています。大麻比古大神は記紀に名が詳しく登場する神ではありませんが、社伝では忌部氏と深い関わりを持つ神として伝えられており、古代の大麻(麻)栽培・麻製品の技術に関係する神とされています。

■ 阿波忌部との関係と神社の成立

大麻比古神社の由緒は、天照大神の御代に忌部氏が阿波へ下り、麻を植え、麻織物を朝廷に献上したという伝承に遡ります。忌部氏は元々、宮中祭祀に必要な品物を製作し納める役割を担った氏族で、特に麻は装束・神具として不可欠な素材でした。

阿波忌部はその一大拠点であり、大麻比古神社はその総本拠の中心とも考えられる神社です。

「大麻比古」という神名の「大麻」は単純な植物名というより、古代の祭祀における根源素材の象徴性を含んでいる点に私は特に興味を感じます。

■ 猿田彦大神が配祀される理由

猿田彦神は「道を開く神」ですが、忌部氏が天皇の祭祀具を整える重要な任務を支えたことから、道開き・国造り・産業の端緒に深く関わる神として同殿されているという考え方があります。

■ 見どころ

・鳥居

鳴門の自然の中に立つ大鳥居は存在感が大きく、神社の格の高さと歴史を感じられるポイントです。

・楼門

江戸時代の建造物とされ、重厚でありながらも四国らしさを感じさせる素朴で清らかな雰囲気があります。

・境内の杉の大木

境内には樹齢数百年とも伝わる杉の巨木があり、これが非常に印象的です。古代祭祀の名残りを思わせる静かな空気感があり、四国の神社の中でも「森の霊性」を特に感じられる場所です。

■ 不思議な話・信仰の広がり

大麻比古神社は古くから「厄除け」の神としても知られ、また「みちびき・航海安全」の信仰もあります。忌部氏が全国に広がる過程の中で、様々な産業と信仰を繋げていったことから、広範な御利益が語られてきたのではないかと考えられます。

■ まとめ

大麻比古神社は、単なる一宮というだけではなく、古代祭祀と麻文化、忌部氏の歴史が現在まで生き続けている神社です。四国に来た際には鳴門観光とセットで訪れることをおすすめします。

古代日本の「ものづくりの神」が息づいている、そんな空気感を味わえる場所です。

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