日本の神話がはじまった地へ
兵庫県淡路島。
瀬戸内海に浮かぶこの穏やかな島は、日本最古の国「オノコロ島」として『古事記』にも登場します。
その中心に鎮座するのが、**伊弉諾神宮(いざなぎじんぐう)**です。
「国産み神話」の舞台として知られる淡路島。
ここはまさに、日本の始まりを記す聖地であり、
天地開闢(てんちかいびゃく)――“日本が誕生した物語”の原点に触れることができる神社です。
御祭神 ― 伊弉諾尊と伊弉冉尊、日本を創りし神々
伊弉諾神宮の御祭神は、
伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)。
この二柱は、国生み・神生みを司る夫婦神として知られ、
『古事記』や『日本書紀』では、天の命により日本列島を生み出した神々として描かれています。
彼らが最初に創った島が淡路島。
つまり伊弉諾神宮は、日本の国づくりが始まった地に建つ神社なのです。
由緒 ― 伊弉諾尊の「幽宮(かくりのみや)」伝承
神話によれば、国産み・神産みを終えた伊弉諾尊は、
黄泉の国に旅立った伊弉冉尊を偲び、世を退いて余生を過ごしたとされます。
その隠棲の地が、この淡路島・多賀の地。
『古事記』には、「伊弉諾大神は淡路の多賀に坐して、幽(かく)り給ふ」とあり、
ここで神として祀られたのが伊弉諾神宮の起源です。
つまり、伊弉諾尊が最後に鎮まった聖地――。
それがこの神宮なのです。
「神宮」の名を持つ特別な神社
伊弉諾神宮は、全国の神社の中でも格別な格式を誇ります。
「神宮」の称号を持つのは、伊勢神宮をはじめとするごく限られた社のみ。
そのうち伊弉諾神宮は、
「伊勢の天照大神」に対して「国土の父母神を祀る社」として特に尊ばれ、
古くから国家鎮護の神宮として崇敬されてきました。
また、延喜式神名帳にも名を連ねる古社であり、
淡路国一之宮として今もなお島の守護神として信仰を集めています。
神話の名残を今に伝える境内
境内に足を踏み入れると、まず目に飛び込むのが「夫婦大楠」。
伊弉諾尊と伊弉冉尊の御神霊が宿ると伝えられ、
二本の幹が根元で一つに結ばれた姿は、まさに夫婦円満・縁結びの象徴。
樹齢はなんと900年以上といわれています。
さらに、境内には「陽の道しるべ」という石碑があり、
伊勢神宮や出雲大社など、日本の主要な神社との太陽の運行線を示す不思議な場所としても注目されています。
古代の人々が「太陽と神々の道」を意識してこの地を選んだのではないか――そんなロマンも感じられます。
ご利益 ― 国産みの神の加護
伊弉諾・伊弉冉両大神は「すべての生命の根源」とされ、
そのご利益は多岐にわたります。
・縁結び・夫婦円満
・安産・子授け
・長寿・健康
・家内安全・国家安泰
とくに夫婦や家族の絆を深める神として信仰され、
全国から多くのカップルや夫婦が参拝に訪れます。
神秘に満ちた淡路島と神宮の関係
淡路島は「日本発祥の地」とも呼ばれ、
島内には伊弉諾神宮をはじめ、「おのころ島神社」「絵島」など、
国産みにまつわる伝承地が点在しています。
伊弉諾神宮を参拝した後にこれらの地をめぐると、
古代の神々が歩んだ物語の軌跡を追体験するような感覚に包まれます。
アクセス
・所在地:兵庫県淡路市多賀740
・アクセス:神戸淡路鳴門自動車道「津名一宮IC」から車で約10分
・駐車場:無料(約200台)
淡路島観光の中心に位置しており、神戸や徳島からのアクセスも良好です。
参拝後は、周辺の温泉や淡路牛グルメを楽しむのもおすすめです。
まとめ ― 日本のはじまりに出会う場所
伊弉諾神宮は、
「日本が生まれた神々の聖地」。
その荘厳な社殿と静謐な森は、まるで神話の世界そのもの。
参道を歩くと、時の流れを超えて古代の息吹を感じることができます。
生命の誕生、家族の絆、国づくり――。
そのすべての原点が、この淡路の地にあります。
ぜひ一度、「日本の始まり」を感じる旅へ。
伊弉諾神宮で、神々の物語に耳を傾けてみてください。
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