【神社めぐり】熱田神宮の摂社・松姤社を訪ねて

 名古屋市熱田区に鎮座する熱田神宮は、日本の三大神宮のひとつに数えられる格式高い神社です。広大な境内には多くの摂社・末社が祀られており、それぞれに独自の神徳や歴史が息づいています。今回ご紹介するのは、その一つである**松姤社(まつごしゃ)**です。名前も読み方も珍しい神社で、熱田神宮を訪れる際にはぜひ立ち寄っておきたいお社です。
 創建は朱鳥元年の686年とされるが詳細は不明とされる。


松姤社(まつごしゃ)の由緒とご祭神

 松姤社のご祭神は、**日本武尊(やまとたけるのみこと)の后神である宮簀媛命(みやすひめのみこと)**です。
 宮簀媛命(みやすひめのみこと)と日本武尊(やまとたけるのみこと)が初めてであったのが松姤社の祀られるこの地だったとされています。
 松姤社には耳にまつわる様々な言われがあると言われています。
 一つは日本武尊が東征の命を受け、伊勢から尾張の大高へ向かう途中、この地にあった川辺で布をさらしていた美しい美女(宮簀媛)に出会い、火上山までの道のりを尋ねたと言います。
 最初宮簀媛は日本武尊の声が聞こえないふりをして日本武尊の問いかけをやり過ごし答えなかったそうです。
 そこでこの場所のことを「布」を「さら」す「女」と書いて
        布曝女町(そぶくめまち)
というようになったそうです。
 この言い伝えを元にこの場所に神社を祀り、それ以来この場所を「おつんぼ神」と呼び、耳の神様と言われるようになった説
 もう一つは日本武尊が東征の際に、宮簀媛命がこの地で閉じこもり、人を遠ざけて誰の声も聴かずに、日本武尊の帰りを祈った場所との説もある。
 そのことが転じ、耳の聞こえない病気はここで祈れば治るとされ、俗に聾神(つんぼがみ)と言われる説もある。
 ただ、ご祭神を宮簀媛命ではなく、建稲種命とする説もあり、詳細については不明とされている。
 

「姤(ごう)」という字は「めぐりあい・縁」を意味し、そこに「松」の字を冠することで、縁結びの御神徳を象徴する社名になっていると考えられています。


ご利益

 宮簀媛命を祀る松姤社は、特に縁結びの神として信仰を集めています。

  • 商売繁盛
  • 家内安全
  • 合格祈願

また、姫神らしく女性守護の神としても崇められ、恋愛成就や安産祈願を願って参拝される方も多いといわれています。


松姤社の社殿と境内の雰囲気

 松姤社は、熱田神宮の境内にある摂社の中でも静かで落ち着いた雰囲気に包まれています。周囲は杜の木々に囲まれ、小ぶりながらも気品ある社殿が建てられています。

 名前に「松」が冠されることから、古来より松の木の神秘性と永遠の生命力を象徴する社として親しまれ、縁結びだけでなく長寿や繁栄のご利益もあるとされます。


熱田神宮との関わり

 熱田神宮は「草薙神剣」を祀ることで知られていますが、その神域には素戔嗚尊やその后神にゆかりの社が複数あります。松姤社は、宮簀媛命を祀る社であり、熱田の森の中で縁を結ぶ力をいただける場所となっています。

 主祭神を守護する存在でありながら、人々の生活に寄り添う「縁結び」の神社として、昔から篤い信仰を集めてきました。


境内社 ※十握社(とつかしゃ)

 こちらの社も耳の神社としてご利益がある説や、十握の剣を祀っているという説があるそうです。
 しかし、資料が少ないため詳細は不明です。

まとめ

 熱田神宮の摂社・松姤社は、宮簀媛命をお祀りする縁結びと夫婦和合の神社です。
 華やかさでは本宮に及ばないものの、ひっそりと佇むその姿にこそ、参拝者の心を惹きつける魅力があります。

 熱田神宮を訪れた際には、ぜひ松姤社にも参拝してみてください。きっとご縁や家庭の幸せを守る力を授けていただけることでしょう。

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