島根県出雲市佐田町に鎮座する須佐神社は、全国に数多くある「須佐之男命(スサノオノミコト)」を祀る神社の中でも、特に「スサノオが終の住処とした地」と伝わる、非常に重要な神社です。観光客だけでなく、神社研究者、霊的スポットとして訪れる人も多い神社で、出雲の中でも「特別な場所」だと言われています。
■祭神と由緒
主祭神は須佐之男命。
社伝では、スサノオが八岐大蛇を討伐した後、ここ須佐の地を「この地こそ我が心に適う地」と定めて終焉の地、鎮まりの地としたと伝えられています。この由緒は非常に古く、『出雲国風土記』にも記載があり、国家的にも早い時代から尊崇を受けていたことが分かります。
また、須佐神社は出雲国造の祖神である天穂日命の後裔・須佐氏によって代々祀られていたと伝えられ、古代祭祀の継続性が極めて濃厚に残る神社です。
■不思議な話・特異な信仰
須佐神社では特に「御神木の大杉」が有名です。樹齢約1,200年とも言われる巨大杉で、古来より神霊が宿ると信じられてきました。参拝者はこの大杉の周囲を巡り、気をいただくように祈願する姿が多く見られます。
もうひとつ特異な伝承として、「大蛇退治の後に納めた剣の気」がこの地に脈々と残るとされ、境内には“強い浄化・解呪”を求めて訪れる参拝者が後を絶たないと言われています。
■見どころ
本殿
出雲大社と同じ大社造。重厚で古社の風格を感じる構造です。古代そのままの雰囲気を受け継ぐ「出雲の祈り」が濃い場所です。
御神木の大杉
須佐神社を語る上で欠かせない存在。写真で見るより現物の迫力は桁違いです。
社叢の空気
須佐神社は「出雲でも奥の出雲」と言われる地域に位置し、人の意識から離れたような、深い森の静けさがあります。それがまた伝承のリアリティを補強しているようにも感じられます。
ヤマタノオロチの骨
須佐神社には社宝としてヤマタノオロチの骨が保管されています。
過去にメディアで何度も取り上げられており、真偽の程は定かでないものの、巨大な骨の一部を確認することができます。
現時点では社宝としてDNA鑑定をすることはないとのことで、謎の解明には至らないものの、主祭神であるスサノオ伝説の一つとして大変興味深い謎となっています
■まとめ
須佐神社は、スサノオを祀る神社の原点ともいえる場所です。終焉地説や風土記に記された古い由緒、神霊が宿るとされる巨大杉。どれを取っても古代祭祀の香りが残る、出雲でも類を見ない存在感の神社です。
出雲大社を訪れた後、出雲の古代信仰の深層を知りたいなら、須佐神社は必ず行くべき一社です。

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