【神社めぐり】高千穂神社 ― 神々が降り立つ里の守護神

■ 高千穂神社とは

宮崎県西臼杵郡高千穂町に鎮座する**高千穂神社(たかちほじんじゃ)**は、神話の里・高千穂の中心に位置する古社です。
創建はおよそ1900年前と伝わり、全国に約88社ある「高千穂神社」の総本社とされています。

古くは「高千穂皇神(すめがみ)」を祀る神社として、古代より高千穂一帯の産土神(うぶすながみ)として厚く信仰を集めてきました。


■ 御祭神

主祭神は**高千穂皇神(たかちほすめがみ)**で、具体的には次の神々を総称しています。

  • 瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)
  • 木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)
  • 彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)
  • 鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)

このほか、**神武天皇の兄・三毛入野命(みけぬのみこと)**を主神として祀るとも伝えられています。

三毛入野命は、悪鬼退治などの伝承を持ち、古くから**「厄除け」「縁結び」「夫婦円満」**の神としても信仰されています。


■ 由緒と歴史

『延喜式神名帳』にもその名が記載される式内社であり、古くから高千穂郷の総鎮守として崇敬されてきました。

平安期には天台宗の僧侶によって修験道の霊地として栄え、江戸時代には高千穂郷一帯の神社を統括する中心的存在となります。

現在の社殿は**1778年(安永7年)**に再建されたもので、国の重要文化財に指定されています。檜皮葺の荘厳な本殿と幣殿、拝殿が一直線に並ぶ美しい「流造り」が特徴です。


■ 見どころ

● 神々しい社殿と夫婦杉

境内は深い杉木立に囲まれ、静寂に包まれた神域です。
とくに参道脇に立つ**「夫婦杉」は人気のスポット。二本の大杉が根元でつながり、仲睦まじく寄り添うようにそびえています。
この木の周りを
夫婦や恋人が手をつないで3回まわると縁が深まる**という言い伝えがあります。

● 高千穂神楽

高千穂神社といえば、「高千穂の夜神楽」が有名です。
毎年11月中旬から翌年2月にかけて、町内各地で奉納されるこの神楽は、国の重要無形民俗文化財にも指定。
とくに神社境内では、通年で観光向けの神楽公演(夜神楽のダイジェスト版)が行われ、天岩戸開きや天孫降臨
の神話を臨場感たっぷりに体感できます。

● 境内の霊験スポット

  • 秩父杉(樹齢800年):圧倒的な存在感を誇る巨木。
  • 鬼八の力石:三毛入野命が鬼八という鬼神を退治した際に持ち上げたとされる大石。力試しの象徴として伝わります。
  • 高千穂峡への玄関口:境内から徒歩数分で高千穂峡に通じ、観光拠点としても最適です。

■ アクセス

  • 所在地:宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井1037
  • アクセス:
     JR延岡駅から宮崎交通バスで約1時間半「高千穂バスセンター」下車、徒歩約10分
  • 駐車場:あり(無料)

■ まとめ

高千穂神社は、日本神話の原風景をそのまま残す聖地です。
神々の息吹が今も漂う境内で、静かに手を合わせれば、神話の世界と現実が交わる不思議な感覚に包まれます。

「天孫降臨の地・高千穂」を訪れるなら、まずこの神社から――。
歴史、自然、そして神話が織りなす高千穂神社は、まさに日本の神道文化を象徴する名社です。

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