【神社めぐり】高座神社(春日井市)〜高倉山に鎮座する、尾張ゆかりの古社〜熱田高座の奥宮

 愛知県春日井市の高蔵寺町にある「高座神社(たかくらじんじゃ)」は、地名「高蔵寺(たかくらじ)」の由来ともなった古社です。
 緑豊かな高倉山(たかくらやま)の中腹にひっそりと鎮座し、古代からこの地域の人々に篤く信仰されてきました。

 その歴史は深く、熱田神宮の摂社である高座結御子神社の奥宮とも呼ばれており、尾張地方の神話を感じられる神社です。
 熱田神宮摂社の高倉結御子神社については、別の記事でまとめていますので、興味のある方は下の記事を参照としてください


■ 高座神社とは

住所  :愛知県春日井市高座町 高座山山頂付近
電話  :無し
社務所 :無し
公式HP :無し
Wiki  :無し 

 高座神社は、春日井市高蔵寺町・高倉山の山頂近くに鎮座する神社で、古くは「高倉社」とも呼ばれていました。
 この「高倉(たかくら)」の名が、のちに山麓に建てられた「高蔵寺」という寺院の名の由来となり、現在の地名「高蔵寺」の元になったと伝えられています。

 まさに「高蔵寺」という地名のルーツともいえる神社です。


■ 御祭神

  • 高倉下命(たかくらじのみこと)

『日本書紀』に登場する神で、神武天皇の東征を助けたと伝えられています。
神武天皇が戦に苦しんでいた際、夢の中で高倉下命が現れ、八咫烏(やたがらす)を導きとして天より「フツノミタマの剣(布都御魂剣)」を授けたという伝説が残ります。
その剣の力で神武天皇は勝利を収め、日本建国へと進んだといわれています。

このことから、高倉下命は戦勝・導き・知恵・武運の神として信仰されてきました。


■ 歴史と由緒

 詳しい由緒は確認できませんでしたが、高倉山ふもとに鎮座する五社大明神社の略記には

 尾張地方名考に曰く、地名始めは神名に起りて、寺院の名と移り、また村名となるにや、此地尾張山の麓に方位て、玉野川を隔たり往昔此処に熱田の高倉明神を祀るという、此処に高座地と呼ぶ、其神祠を護る神宮寺を後世に高座寺【天台宗】といふ。今は村名となる。
 尾張名所図会に曰く、高蔵社同村(高蔵寺村を指す)山の頂上にあり、頗る蕾社にして承応四年乙未年再建なり、俗に熱田高蔵宮の奥院なりという。末社山神社神社、天王社あり。
 名古屋市史に曰く、高蔵寺ト称スルハ高位ヲ結ト云義トゾ。因テ本主に仲哀天皇ヲ祭ナリ。(これは熱田高蔵宮を説いた文の一部であるが高蔵の意味を知ることができる。)

とあります。

 高座神社の創建は古く、神武天皇東征の伝承時代にまでさかのぼるといわれています。
尾張国は古代より「天孫族」と「国つ神」の交わる地であり、高倉下命のような“導きの神”が祀られたのは、まさにこの地の象徴といえるでしょう。

 社伝によると、かつてこの山は「高倉山(たかくらやま)」と呼ばれ、古代祭祀の場として使われていたとも伝えられます。
 後世、山麓に天台宗の寺院「高蔵寺」が建てられ、山全体が「高蔵山」と呼ばれるようになったといいます。


磐座

■ 境内の様子

高倉山の山頂付近まで登ると、木々に囲まれた静寂の中に社殿が現れます。
訪れる人も少なく、まさに**“隠れた古社”**という言葉がふさわしい場所です。

● 鳥居と参道

山の麓から緩やかな山道をひたすらに登ります。
道中には地元の方々によって整備された案内板もあり、自然の中を歩きながら参拝することができます。

● 拝殿・本殿

拝殿は小規模ながら、古代の神籬(ひもろぎ)を思わせる厳かな雰囲気を漂わせています。
本殿は木々の中に鎮まり、訪れる人の心を静かに包み込みます。

● 高倉山からの眺望

登山道の途中に、春日井市街や遠く名古屋方面を望むことができます。
晴れた日には濃尾平野が一望でき、まるで神が見守るような高みの地です。


■ ご利益

高倉下命の神徳は、「導き」「勝運」「知恵」「成長」。
特に、

  • 進学・仕事・人生の方向性に悩む人の道を照らす
  • 困難を乗り越える力を授ける
  • 武運・勝負運を上げる
    といったご利益があるとされています。

また、山全体が“氣”の宿る場所として、パワースポットとしても知られています。


■ アクセス

  • 所在地:愛知県春日井市高蔵寺町字高座山
  • 最寄駅:JR中央本線「高蔵寺駅」から徒歩約20分(登山道経由)
  • 駐車場:五社大明神社の駐車場を利用可能

山道を登る必要があるため、歩きやすい靴と服装での参拝をおすすめします。


■ 周辺スポット

  • 高蔵寺(天台宗):神社の名の由来となった古刹。十一面観音を本尊とし、地域の信仰の中心。
  • 高座山展望台:春日井市街を一望できる絶景スポット。
  • 定光寺公園:桜と紅葉の名所として知られる自然豊かな公園。

神仏習合の歴史を感じながら巡るのも、この地域ならではの楽しみ方です。


■ まとめ

高座神社は、古代の英雄・高倉下命を祀る尾張の古社であり、
「導き」と「知恵」を授ける神として、静かに人々の信仰を集め続けています。

高倉山という自然の中に鎮座するその姿は、まるで古代から時を越えて息づく“聖なる杜”。
喧騒から離れ、ゆっくりと心を整えたい時、ぜひこの高倉山の神社を訪れてみてください。


🪶一言メモ:高倉下命とは?
古代の武神でありながら、神武天皇に「知恵の剣」を授けた“知略の神”でもあります。
そのため、単なる戦勝祈願だけでなく、「冷静な判断力」「導き」「調和」を象徴する神として祀られているのです。

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