【神社系統】「鹿島神社」系 〜武の神・タケミカヅチを祀る日本最古の武神信仰〜

日本全国には「鹿島神社」「鹿島宮」「鹿島大神」など、同名・同系統の神社が数多く存在します。
その総本社が、茨城県鹿嶋市に鎮座する**鹿島神宮(かしまじんぐう)**です。

今回は、全国に広がる「鹿島神社」系の信仰について、
主祭神・有名神社・特徴・神仏習合の影響などを詳しく解説していきます。


🏯主祭神

武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)

別名:建御雷神(たけみかづちのかみ)
神話では、天照大神の命を受けて葦原中国(地上世界)を平定した“武神”として登場します。
鹿島神宮の御祭神・武甕槌大神は、日本最古の武道の神・勝負運の神・国家鎮護の神として、古代から厚く信仰されてきました。

また、相殿神として

  • 経津主大神(ふつぬしのおおかみ)(香取神宮の主祭神)
    を祀ることも多く、この二神は“鹿島・香取の二柱”として並び称され、東国守護・国土鎮護の象徴とされています。

⛩全国の有名な「鹿島神社」系の神社

鹿島信仰は、武士や武道家だけでなく、一般庶民にも「勝負運・必勝祈願・開運厄除け」として広まり、全国に約600社以上の分社があるといわれています。
その中でも特に有名な神社を紹介します。


🏮1. 鹿島神宮(茨城県鹿嶋市)【総本社】

常陸国一之宮であり、全国鹿島神社の総本宮。
紀元前660年に創建されたと伝えられ、日本神話の中でも最古の神社の一つとされています。
奥宮には、タケミカヅチが地上に降臨した「要石(かなめいし)」が祀られ、地震を鎮める霊石として知られています。


🏮2. 鹿島神社(宮城県石巻市)

東北の要として信仰を集めた鹿島神社。
武甕槌大神を祀り、平安時代から陸奥の鎮護として武士たちに崇敬されました。


🏮3. 鹿島神社(兵庫県明石市)

瀬戸内海沿岸の守護神として建立された社で、航海安全・武運長久を祈願する神として信仰されています。


🏮4. 鹿島神社(奈良県天理市)

古くから大和武士の信仰を集めた神社。
鹿島から勧請された神を祀り、大和地方の武道守護として栄えました。


🏮5. 鹿島神社(愛知県豊橋市)

東海道沿いに鎮座し、交通安全・必勝祈願・地域守護の神として多くの参拝者が訪れます。


⚔鹿島神社系の特徴

① 日本最古の「武神信仰」

鹿島神社は、神話に登場する武甕槌大神を祀り、剣を象徴する「武の神」として古代から国家鎮護の中心的存在でした。
武士の台頭とともに、鎌倉・室町・江戸時代を通して**「勝負の神」**として崇敬が高まりました。


② 鹿の神使

鹿島神宮では、神の使いとされる**鹿(しか)**が神聖視され、「鹿島立ち(かしまだち)」という言葉も生まれました。
これは「出陣」や「旅立ち」を意味し、武士が戦に赴く際の縁起言葉とされています。


③ 香取神宮との二社信仰

隣接する千葉県の香取神宮とともに「東国の二大神」と称されます。
香取の経津主大神と鹿島の武甕槌大神は、国譲り神話で共に地上を平定した神々であり、
**香取=文(知略)・鹿島=武(力)**としてバランスの取れた守護体系を形成しました。


🕉神仏習合と鹿島信仰

中世には神仏習合が進み、鹿島の神は毘沙門天(びしゃもんてん)や不動明王と同一視されました。

神道仏教の対応神役割
武甕槌大神毘沙門天(多聞天)武運・財運・勝利の守護神
経津主大神不動明王降魔・調伏・国家鎮護

特に毘沙門天との習合は有名で、
「鹿島大明神=毘沙門天の化身」として戦国武将たちの信仰を集め、
戦勝祈願や武運長久の祈祷が盛んに行われました。


🪷まとめ

項目内容
総本社茨城県鹿嶋市・鹿島神宮
主祭神武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)
相殿神経津主大神(ふつぬしのおおかみ)
ご利益勝負運・武運長久・地震除け・交通安全
神使鹿
神仏習合毘沙門天・不動明王と習合
特徴日本最古の武神信仰・香取神宮との二社信仰・全国約600社の分社

「勝利を呼び、国を鎮める神」——それが鹿島神社系の神々です。
古代の戦から現代のスポーツ・仕事・人生の勝負ごとまで、
人々の心に「勝つ力」を与え続けています。

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