【神話図鑑】竹内文書に記される天地開闢と世界観

竹内文書(たけうちもんじょ)は、茨城県の竹内家に伝わったとされる文書群で、巨大な超古代史観が展開されている資料です。しかし学術界では「成立時代が近代」とみられ、いわゆる歴史学的な正史としては扱われていません。

ただ、その内容は日本神話を研究する際の比較資料、思想史・民間伝承の受容の研究としては非常に興味深いものでもあります。

竹内文書の天地開闢は、古事記・日本書紀と比べて「スケールが極端に大きい」点が最大の特徴です。


竹内文書における天地開闢

竹内文書では、宇宙の創造は「天皇」以前、遥か以前の太古世界から始まり、宇宙の根源的存在のもと「数次元的な天体」と「神の統治者」が存在していたと記述されます。

特に有名な特徴は
世界は日本から始まったのではなく「宇宙的規模の神政」が繰り返され、天皇はその超古代の長い神統の流れを受け継ぐ存在と描かれる点です。

宇宙、地球、日本という時間軸・空間軸が非常に巨大で、
古代世界には「別天」「元伊勢」「超古代天皇」などの概念が存在し、現代以前にも何度も世界が創造され、再編されるという世界観が展開されます。


古事記・日本書紀との違い

視点古事記/日本書紀竹内文書
天地開闢のスケール混沌から天と地が分かれ、日本神話の神々が順次誕生宇宙規模。時代は数十万年以上に及び、世界再創造が繰り返される
神話成立の中心日本列島・神々・天孫降臨という「日本の起源」中心宇宙的な歴史を経て「超古代天皇」まで続く神政史
文書の性質国家編纂神話・記録史書民間伝承+擬史的体系。学術的には偽書扱い
読者へのメッセージ性国家成立・祭祀の正統性天皇と人類史の超古代的統合観

古事記・日本書紀は「日本の始源・神の系譜」を描くのに対し、竹内文書は「宇宙史・人類史・天皇史」を一本の巨大な時間軸に組み込む特徴があります。


竹内文書の天地開闢が注目される理由

偽書扱いであるにも関わらず、竹内文書が研究対象として関心を引き続けるのは、

  • 超古代史ロマン
  • 失われた文明観
  • 神代と天皇系統を宇宙レベルに延長する神話的構想力

こういった思想的魅力があるためです。

神話を「文化史」「思想史」「宗教意識」の比較対象としてみると、竹内文書の天地開闢は、古事記・日本書紀とは全く異なる“物語の可能性の拡張”を見ることができます。


まとめ

竹内文書の天地開闢は、一般の日本神話とは完全に違うスケールの世界観で描かれており、宇宙から始まる超長期の神統史がベースとなっています。

ただし、古事記・日本書紀のような国家記録とは違い、学術的には史料として認められていない点を理解したうえで、

「どのような世界観がなぜ生まれたのか」
を考察する資料として楽しむことができます。

竹内文書の天地開闢の比較は、日本神話研究の幅を広げる上で、逆にとても良い“対照的素材”となるのです。

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