【霊場めぐり】鳳来寺山と鳳来寺|家康ゆかりの山岳信仰と自然美【愛知県新城市】

愛知県東部、新城市にそびえる霊山「鳳来寺山(ほうらいじさん)」。
標高695mの山の中腹に鎮座するのが、由緒ある天台宗の古刹鳳来寺です。
鳳来寺山は山自体が国の名勝、天然記念物に指定されています。
1300年の歴史を誇り、自然と信仰が織りなす壮麗な霊場は、「東三河の奥座敷」として多くの人々の心を惹きつけています。

また鳳来寺山は愛知県の県鳥であるコノハズク(日本最小のフクロウ)が生息することでも知られています。
コノハズクは「ブッポウソウ(仏法僧)」と鳴くことから声のブッポウソウと呼ばれています。
※以前はブッポウソウが仏法僧となくと思われていたため
※NHKの名古屋放送局がつきとめたそうです


■鳳来寺とは?鳳来寺にまつわる3つの伝説!?

奈良時代、名僧利修仙人の伝説

項目内容
名称鳳来寺(ほうらいじ)
宗派真言宗五智教団
所在地愛知県新城市門谷字鳳来寺1
創建大宝2年(702年)
開山利修(りしゅう)
ご本尊薬師如来
ご利益病気平癒・身体健康・子授け・安産

鳳来寺は、伝説の修験者利修仙人が霊鳥に導かれて開山したと伝わります。
ご本尊の薬師如来像は、眼病や病気平癒に霊験あらたかとされ、今も多くの参拝者が訪れています。

鳳来寺には三匹の鬼がいた!?

 利修仙人には、仙人に仕えた三匹の鬼(赤鬼、青鬼、黒鬼)がいたと言われています。
 利修仙人が入定の際に、3匹の鬼の首をはねて森の守り神とし、鬼たちを本堂の下に埋葬したという伝説が残っています。
 また元和6年(1602年)と慶安年間(1648~1651)に鬼の骨が確認されたという記録もあるとのことです。
 本堂は鬼たちを供養する意味合いもあると言われています。

鳳来寺山は様々な呼ばれ方があった!?

 鳳来寺山は利修仙人が鳳来寺を開く以前は、桐生山(きりゅうざん)と呼ばれていましたが、天武天皇から承った鳳来寺の寺の名前によって、鳳来寺がある山として鳳来寺山と呼ばれるようになりました。
 桐生山と言われた理由はもともとこの山に神の拠り所となっていた大きな桐の大木があり、その大木の穴に住み着いていた龍が時々雲霜を発して大雨を降らせるということから霜降山ともいわれたと言い伝えがあります。
 また鳳来寺の山号は煙厳山(えんがんざん)とされ、これは利修仙人が焚いた護摩行の煙が山全体に立ち込めた様子に由来されるとしています。


鳳来寺さんの戦国武将とのつながり

■徳川家康とのゆかり|出生伝説と日光東照宮の原点

鳳来寺は、徳川家康公出生の地に関わる寺院としても有名です。
家康の母・於大の方が鳳来寺に祈願したところ、男子を懐妊したと伝えられ、これにより家康が誕生したという逸話があります。

この縁から、家康は鳳来寺を篤く信仰し、江戸時代には幕府からの庇護を受け、後の徳川家康が大号令を発し、この地に家康公を祀る東照宮を整備しました。
また、この東照宮は日光・久能山と並ぶ「三大東照宮」の一つに数えられることもあります。

徳川四天王 井伊直正と鳳来寺のつながり

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 井伊直弼は幼名を虎松といい、幼いころに家臣により父親が殺害された際、命を狙われる立場となり、その時に身を隠したのが、殺生を禁止されていた鳳来寺と言われています。
 井伊直正は8歳から14歳までをここ鳳来寺で過ごし、当時の寺の僧侶たちから武将として必要な教養を学んだそうです。
 井伊直正が徳川四天王に数えられえる程になったのは、鳳来寺での教えが影響したのかもしれません。
 


■本堂と境内の見どころ

場所見どころ
本堂江戸時代再建。荘厳な雰囲気に包まれた山上の伽藍。
鳳来山東照宮家康公を祀る朱塗りの社殿。日光に似た華麗さ。
仁王門巨大な金剛力士像が鎮座する山門。
多宝塔国指定重要文化財。均整美あふれる木造建築。
奥の院鳳来寺の最奥部。利修仙人ゆかりの修行の地。

仁王門(山門・楼門)

 徳川三代将軍家光の寄進により建てられました。
 朱塗りの楼門で、左右には大きな仁王像が!
 仁王門は国の重要文化財、仁王像は新城市の重要文化財に指定されています。
 仁王門には猛虎、竹、ボタン唐獅子など細かい彫刻が施されており、見るものを圧倒する他、仁王門にかかる「鳳来寺」の額は光明皇后が書いたものとされ、仁王像は江戸時代の法橋雲海作とされています。
 ※個人的には仁王門の手前の階段から写真を撮るとめちゃめちゃ映えるのでお勧めです。

傘杉 ※県指定天然記念物

 鳳来寺の仁王門から石段を少し進んだ先に傘杉と呼ばれる注連縄がかかった大きな杉の巨木があります。
 鳳来寺山でもっとっも優れた杉とされ、御神木として鳳来寺さんの中でも特別な一本とされています。見た目が傘の形をしていることから傘杉と呼ばれているそうです。
 新日本名木百選にも選ばれており、樹齢は800年、樹高は60メートル、周囲7.5メートルとされ大変大きな木で、以前は日本一高い杉の木として全国に知られましたが、京都の三本杉のほうが高いということが判明し、現在は2位ということになっています。
 しかし2位とは言え1位と張り合った巨木!
 その見た目は神秘的で日幾年もの年月を経て成長した木という存在感を感じます。
 日本を代表する巨木として一見の価値は間違いなくあります!!!

 
 ※傘杉の独り言 足元の土を踏み固めないよう少し離れたところから拝見しましょう。

奥の院 ※立ち入り禁止

 鳳来寺の奥、鳳来寺山の頂上付近には、鳳来寺の奥の院が鎮座しています。
 しかし、現在は建物が崩れ、立ち入り禁止のロープと札が。。。
 開祖の利修仙人、霊仏、薬師如来が祀られています。

六本杉

 鳳来寺山の頂上付近には六本杉と呼ばれる霊木があります。
 672年に利修仙人がこの地に来た時、7本あった霊木の内1本を切って薬師如来を彫刻し、鳳来寺の本尊としたそうです。
 残った6本の霊木を六本杉と呼んでいます。

勝岳不動堂

 利修仙人が入寂したとされる勝岳不動堂
 利修仙人が自らお寿命を悟り、お供にしていた3匹の鬼に「共に死んで鳳来寺の守り神になる」こと約束させたと伝えられています。
 仙人は鬼の首を本堂下に埋めた後、勝岳不動で入寂されたと伝えられているそうです。

■アクセス・駐車場

手段詳細
公共交通JR飯田線「本長篠駅」→バス約20分「鳳来寺」下車
自家用車鳳来寺山パークウェイ(有料道路)で山頂駐車場まで。そこから徒歩10分程度
駐車場山麓・山上ともにあり(混雑時注意)

※石段を登らずに山上駐車場からアクセスできるルートもあります。


■自然とともに歩む鳳来寺山|紅葉・パワースポットとしても人気

鳳来寺山は、国の名勝・天然記念物にも指定されている自然の宝庫です。

  • 秋は絶景の紅葉
  • 春は山桜が美しい
  • 山頂付近では運が良ければニホンカモシカにも出会えることも!

また、山全体が「パワースポット」としても知られており、心身を整える“癒しの山旅”にも最適です。


■まとめ|神仏と自然の共鳴が感じられる霊山へ

鳳来寺山と鳳来寺は、単なる観光地ではなく、
祈り・自然・歴史が三位一体となった「東海の聖地」です。

  • 徳川家康ゆかりの寺社で歴史に触れ
  • 1425段の石段で心を鍛え
  • 本堂で静かに祈りを捧げ
  • 鳳来山の自然に癒される――

そんな一日を過ごしてみませんか?

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