日本では「お寺」と「神社」が近い存在として扱われることも多いですが、お寺は仏教の修行の場であり、仏様が祀られています。
神社とは目的も信仰の性質も異なるため、参拝マナーにも少し違いがあります。
ここではお寺を参拝する際の基本的な礼儀と、神社との違いも合わせて紹介します。
山門(入口)での礼
神社の鳥居と同じく、お寺にも聖域の入口である「山門」があります。
山門前では軽く一礼し、静かな気持ちで境内へ入ります。
※ここでの違い
神社 → 鳥居で一礼
寺院 → 山門で一礼
世界観として、神社は「神域へ入る」、お寺は「修行の場に入り心を整える」という違いがあると言えます。
参道の歩き方
神社では中央は神様の通り道と言われますが、お寺は中央を歩いても問題ありません。
ただし、騒がずゆっくり歩くこと、他の参拝者に配慮することは同じです。
手水舎での作法
お寺でも手水舎がある場合は神社と同様に手と口を清めます。
清め方はほぼ同じで問題ありません。
本堂での参拝方法
お寺では「二礼二拍手一礼」ではありません。
拍手を打ちません。ここが神社との大きな違いです。
一般的な流れは以下の通りです。
- 賽銭を静かに入れる
- 合掌して静かに祈念する(合掌は手を合わせるだけ)
- 深く一礼して終える
願いごとを言うよりも
「日常への感謝」「亡くなった方への供養」「心の静まり」
などを意識する人が多いのも寺院参拝らしいポイントです。
※ここでの大きな違い
神社 → 柏手(二拍手)が基本
寺院 → 拍手はしない。合掌のみ
線香・ロウソクについて
寺院の場合、線香やロウソクを供える場があります。
線香やロウソクは他の人と同じ火から付けて、吹いて消さないのがマナーです。
消す場合は「手であおいで消す」。
神社ではこうした線香供えは一般的ではありません。ここも明確な違いです。
境内で気を付けたいこと
- お経や説法の最中は出入りや撮影を避ける
- 仏像に触れない
- 大きな声を出さない
- 飲食を境内の中心部で行わない
- 本堂前で長時間の撮影ポーズなどを取らない
お寺は「修行・供養・静寂」が大きなテーマなので、空気を乱さない意識が特に大切です。
写真撮影について
本尊の撮影は基本禁止の寺が多いです。
看板や案内の指示を必ず確認します。
神社より撮影禁止範囲が多い傾向にあります。
神社との違いまとめ(ポイント)
| 項目 | 神社 | 寺院 |
|---|---|---|
| 入口 | 鳥居で一礼 | 山門で一礼 |
| 参道の中央 | 避ける | 歩いてよい |
| 本殿前の作法 | 二礼二拍手一礼 | 合掌のみ(拍手なし) |
| 香 | 基本無し | 線香を供える文化 |
まとめ
神社参拝は「神様と対面するご挨拶」。
お寺参拝は「心を静め、供養と感謝を捧げる時間」。
日本の信仰文化でこの二つが一緒に語られがちなのは、日本人が古くから神仏習合の文化を持っていたからでもあります。
だからこそ、違いを知って訪れるだけでも、参拝時間はより深く豊かなものになります。

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