「神武(じんむ)天皇」――
日本神話において、初代天皇として知られ、現在の皇室の祖とされる存在です。
神話と歴史のはざまに立つ人物でありながら、神格化され、各地で神としても祀られています。
今回は、神武天皇の神話的エピソードからご神徳、関連神社までをわかりやすく解説します。
◆ 神武天皇とは?
項目 | 内容 |
---|---|
お名前 | 神武天皇(じんむてんのう)/諱(いみな):神日本磐余彦尊(かんやまといわれひこのみこと) |
系譜 | 父:ウガヤフキアエズ命/母:タマヨリ姫(海神の娘)/祖父:山幸彦(ホオリ命) |
ご神徳 | 国家安泰・開運招福・武運長久・導き・立身出世 |
在位 | 神話上、紀元前660年即位とされる(建国記念の日の由来) |
◆ 神話における神武東征(しんむとうせい)
神武天皇は、九州・日向(宮崎県)で生まれ育ちましたが、
「天下を平らげるため」に東へと旅立ち、大和(奈良)を目指します。
途中、海の難や戦で兄弟を亡くすなど多くの困難がありましたが、
熊野から大和に入る際には**八咫烏(やたがらす)**の導きによって進軍し、
ついに奈良・橿原の地にて即位、日本初代天皇となりました。
この一連の物語は「神武東征」と呼ばれ、日本の建国神話の核心に位置付けられています。
◆ 建国記念の日と神武天皇
毎年2月11日の「建国記念の日」は、神武天皇が橿原宮で即位したとされる日。
これは『日本書紀』の記述に基づき、明治政府が「紀元節」として定めたことが起源です。
現在でも、この日には全国の神社で建国祭が斎行され、
神武天皇の建国の功績をしのび、国家の平安が祈念されます。
◆ 神武天皇のご神徳
神武天皇は、神代の系譜を受け継ぎ、
国土統一と国家安定の象徴的存在として、次のようなご利益が信仰されています。
- 国家安泰・平和の祈願
- 武運長久・戦勝祈願
- 出世開運・リーダーシップ
- 道開き・試練突破(東征にちなんで)
リーダーシップや開拓者精神に通じる神徳から、
企業経営者や政治家などからも広く信仰される存在です。
◆ 神武天皇を祀る神社
神社名 | 所在地 | 主な特徴 |
---|---|---|
橿原神宮(かしはらじんぐう) | 奈良県橿原市 | 神武天皇が即位したとされる橿原宮跡に創建された神宮。神武天皇と皇后・媛蹈鞴五十鈴媛命を祀る。 |
宮崎神宮 | 宮崎県宮崎市 | 神武天皇の生誕地とされ、幼少期を過ごした地。南九州の神武信仰の中心。 |
神武天皇陵(畝傍山東北陵) | 奈良県橿原市 | 神武天皇の陵墓。建国記念の日に政府要人が参拝する。 |
明治神宮・靖国神社 ほか | 東京都など | 建国に関わる神として、境内摂社などで祀られることも多い。 |
◆ 豆知識|「じんむ」という名前の意味
「神武」とは、神のごとき武勇をもつ天皇という意味の諡号(しごう)で、
生前の名前ではなく、亡くなった後につけられた称号です。
本来の名前は「神日本磐余彦尊(かんやまといわれひこのみこと)」であり、
「神の国・大和の強い男子」といった意味が込められています。
◆ まとめ|神話と現実をつなぐ“建国の象徴”
神武天皇は、日本という国の“始まり”を象徴する神格的存在です。
歴史と神話の間に立つ人物として、時代を超えて祀られ続けています。
現代に生きる私たちにとっても、
「目標に向かって困難を乗り越える力」「新しい時代を切り開く気概」
といったメッセージを感じさせてくれる神様です。
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