東京・埼玉・神奈川を中心に、全国に約280社を数える「氷川神社」。
その総本社が、さいたま市大宮区に鎮座する**武蔵一宮 氷川神社(むさしいちのみや ひかわじんじゃ)**です。
約2400年前、神武天皇の御代に創建されたと伝わる古社で、関東一円の守護神として厚い崇敬を受けています。
「大宮(おおみや)」という地名自体も、この神社の「大いなる宮」に由来しているほどです。
◇ 神社の由緒
『古事記』『日本書紀』にも名が見える須佐之男命(すさのおのみこと)を主祭神とし、
その妻神である稲田姫命(いなだひめのみこと)、
そしてその御子神**大己貴命(おおなむちのみこと)**をお祀りしています。
創建の年代は古く、神武天皇が東征の途上において、
武蔵国の地を鎮めるために出雲の神々を祀ったのが始まりとされます。
平安時代には朝廷からも「名神大社」として崇敬を受け、
鎌倉時代以降は源氏、北条氏、徳川家といった武家からも篤く信仰されました。
江戸時代には「関東総鎮守」として江戸を守護し、現在でも多くの人々が参拝に訪れます。
◇ 御祭神とご神徳
御祭神:
- 須佐之男命(すさのおのみこと)
- 稲田姫命(いなだひめのみこと)
- 大己貴命(おおなむちのみこと)
須佐之男命は「厄除け・縁結び・家内安全」の神として知られ、
稲田姫命は「良縁と家庭円満」、
大己貴命は「国造り・商売繁盛・健康成就」の神徳を持ちます。
この三柱の神々がそろって祀られていることから、
**「人と人、心と心を結ぶ神社」**としても信仰を集めています。
◇ 神話と伝説
氷川神社の由緒は、出雲神話に深くつながります。
須佐之男命が八岐大蛇(やまたのおろち)を退治し、
その地を鎮めて稲田姫命と結ばれたという伝説が有名ですが、
氷川神社はその神話の流れを「武蔵国」に伝えた場所とされています。
また、社名の「氷川(ひかわ)」は、
出雲国の「簸川(ひのかわ)」=斐伊川(ひいかわ)に由来するといわれ、
出雲の地から勧請された神であることを物語っています。
◇ 見どころ
● 長大な参道
氷川神社といえば、約2kmにおよぶ日本屈指の参道が有名。
ケヤキ並木が続く道を歩くと、都会の喧騒を忘れ、心が穏やかになるような静けさに包まれます。
● 鏡池と神橋
境内の奥には神秘的な「神池(しんいけ)」が広がり、
朱色の「神橋」を渡る姿はまるで神話の世界。
水面に映る社殿は、まさに「水と縁の神社」を象徴しています。
● 大宮えびす神社・門客人神社
境内には多くの摂末社があり、中でも「大宮えびす神社」は商売繁盛で有名。
また「門客人神社(もんきゃくじんじゃ)」は出雲の客人神を祀る社で、
縁結びのパワースポットとして人気です。
◇ 年中行事
- 初詣(1月):関東でも屈指の参拝者数を誇り、毎年200万人以上が訪れます。
- 十日市(12月10日):えびす講として有名。熊手や福笹が並び、年の瀬の風物詩に。
- 例大祭(8月1日):平安時代から続く伝統の大祭で、神幸祭・行列が華やかに行われます。
◇ アクセス
- 所在地:埼玉県さいたま市大宮区高鼻町1-407
- アクセス:JR大宮駅東口から徒歩約15分
- 駐車場:あり
◇ まとめ
氷川神社は、
出雲の神々を祀り、関東一円を守護してきた**「東国の出雲」**とも呼ばれる古社です。
水と縁を結ぶ神々の力を感じながら、
ゆったりと参道を歩けば、自然と心が整っていくような不思議な感覚に包まれます。
歴史・神話・自然が見事に調和した、まさに「日本の心」を感じる神社。
さいたまを訪れる際には、ぜひ一度足を運んでみてください。
コメント