神々の息づく神秘の霊地
鹿児島県霧島市。
霧深く包まれる山々の中に、鮮やかな朱塗りの社殿が静かにたたずむ――それが**霧島神宮(きりしまじんぐう)です。
この地は、日本神話において天孫降臨(てんそんこうりん)**の舞台とされる霧島連山の麓にあり、「天と地を結ぶ聖なる場所」として古代より崇められてきました。
「日本神話の始まりの地」と呼ぶにふさわしい、壮大なロマンと自然の力に満ちた神社です。
御祭神 ― 天孫・瓊瓊杵尊を祀る
霧島神宮の御祭神は、
瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)。
天照大神(あまてらすおおみかみ)の孫にあたり、天照大神の命を受けて「葦原中国(あしはらのなかつくに)」、つまりこの地上界を治めるために天から降り立った神と伝えられます。
この「天孫降臨」の神話こそ、日本神話を語るうえで欠かせない重要な出来事です。
また、配祀神として
・木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)
・彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)
・豊玉姫命(とよたまひめのみこと)
など、瓊瓊杵尊の家系に連なる神々もお祀りされています。
つまり霧島神宮は「神々の家族が暮らす神社」とも言える、神話の中心的存在なのです。
天孫降臨伝説と霧島の山々
神話によると、瓊瓊杵尊は高天原から地上に降りる際、霧島の**高千穂峰(たかちほのみね)**に降り立ったとされます。
その場所には現在、**天の逆鉾(あまのさかほこ)**と呼ばれる神聖な鉾が突き立てられています。
これは天と地を結ぶ象徴として伝えられており、坂本龍馬も新婚旅行の際にこの地を訪れ、感嘆したという逸話も残っています。
霧島神宮は、古くはこの高千穂峰の中腹に鎮座していましたが、噴火によって何度も焼失。
そのたびに場所を変え、現在の地に社殿が再建されたのは享保4年(1719年)、第5代薩摩藩主・島津吉貴の時代です。
豪華絢爛な社殿は「西の日光」と称され、国の重要文化財にも指定されています。
豪華絢爛な社殿と自然の調和
朱と金の色彩が織りなす社殿は、見る者を圧倒します。
極彩色に塗られた装飾には龍や鳳凰が描かれ、神々の世界を象徴するかのよう。
周囲を囲む深い森と清らかな空気が、よりいっそう神秘的な雰囲気を引き立てます。
境内に一歩足を踏み入れると、空気が変わる――そう感じる参拝者も多く、
「ここは神々が今も住まう場所」と実感できるほどの神聖さが漂っています。
霧島神宮のご利益
霧島神宮は、瓊瓊杵尊を祀ることから、
開運招福・縁結び・夫婦円満・家内安全などのご利益で知られています。
また、「新しいことを始めるときに訪れるとよい神社」としても人気があります。
瓊瓊杵尊の“地上での国づくり”の物語になぞらえ、
転職・起業・結婚など、「人生の節目」を迎える人々から篤く信仰されています。
霧島神宮をめぐる小さな伝説
境内の「神石(しんせき)」には、瓊瓊杵尊が腰を掛けたと伝えられる石があり、
触れると心が清められるとも言われています。
また、参道に立つ巨大な杉の御神木は樹齢約800年。
その荘厳な姿は、まるで天と地をつなぐ柱のようで、
古代から続く神々の息吹を今に伝えています。
アクセスと周辺観光
・所在地:鹿児島県霧島市霧島田口2608-5
・アクセス:JR霧島神宮駅からバスで約10分
・駐車場:無料あり(約300台)
周辺には霧島温泉郷やえびの高原など、自然と神話を感じられるスポットが点在しています。
参拝後は、霧島の雄大な自然に癒されるのもおすすめです。
まとめ ― 天と地を結ぶ神の座
霧島神宮は、日本神話の起点ともいえる「天孫降臨の地」に鎮座する神社。
その由緒、自然、建築のすべてが調和し、訪れる人の心を深く揺さぶります。
「人生の新しい一歩を踏み出すとき」――
霧島神宮を訪れ、天孫・瓊瓊杵尊に願いを捧げてみてはいかがでしょうか。
天と地をつなぐ神の力が、きっと背中を押してくれるはずです。
コメント