【神社系統】宗像大社系 ― 海を渡る女神たちを祀る神社たち

🌊はじめに

日本全国の神社には、それぞれ「本社」と呼ばれる中心的な神社があり、そこから信仰が広がった「系統」が存在します。今回はその中でも、古来より海上交通と国家鎮護を担ってきた「宗像大社(むなかたたいしゃ)」を中心とする【宗像大社系】の神社について紹介します。


🏯宗像大社とは

宗像大社は福岡県宗像市に鎮座する、日本有数の古社です。
全国に約6,000社あるといわれる「宗像三女神(むなかたさんじょしん)」を祀る神社の総本社として知られています。

主祭神

宗像大社では、宗像三女神が祀られています。

神名御名(みな)御神徳鎮座地
田心姫神(たごりひめのかみ)沖津宮(おきつぐう/沖ノ島)海の彼方を守護沖ノ島(世界遺産)
湍津姫神(たぎつひめのかみ)中津宮(なかつぐう/大島)海中を守護大島
市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)辺津宮(へつぐう/宗像市田島)陸地・港を守護宗像市田島

この三柱の女神は、天照大神と須佐之男命の誓約(うけい)によって生まれた神々で、海上交通の安全を司ると同時に、女性らしい優しさと厳しさを併せ持つ守護神として古くから信仰されています。


🗾宗像大社系の有名な神社

宗像三女神は「日本中の海を守護する神」として広く信仰され、全国の沿岸部を中心に多数の分社が建立されました。その中でも特に有名な神社を紹介します。

🌸1. 厳島神社(広島県廿日市市)

主祭神:市杵島姫命(宗像三女神)
言わずと知れた世界遺産の神社。潮の満ち引きで社殿が海に浮かぶ姿は、まさに海神信仰の象徴です。宗像三女神の一柱、市杵島姫命が主祭神として祀られています。

🌊2. 江島神社(神奈川県藤沢市)

主祭神:多紀理比売命(田心姫神)・市寸島比売命(市杵島姫命)・多岐都比売命(湍津姫神)
江の島に鎮座する三宮構成の神社で、宗像三女神がそろって祀られています。鎌倉期以降は弁才天信仰と習合し、芸能・財運の神としても篤く崇敬されるようになりました。

🏝️3. 竹生島神社(滋賀県長浜市)

主祭神:市杵島姫命
琵琶湖の神秘の島・竹生島に鎮座。厳島神社・江島神社と並び、日本三大弁才天の一つとして知られています。

⛩️4. 志賀海神社(福岡県福岡市東区)

主祭神:綿津見三神(海神)
宗像大社と密接な関係を持つ海神の総本社。「海の正倉院」と称されるほど、古代海人族の信仰の中心的存在でした。宗像三女神との関わりが深く、同じく海上守護を祈る神社です。


🌺宗像大社系神社の特徴

  1. 海との関わりが深い
     宗像三女神は海の神として祀られており、宗像大社系の神社は海岸、島、港町に多く鎮座しています。航海安全・漁業繁栄を祈る祭礼が今も盛んです。
  2. 女性的な神格と信仰の広がり
     宗像三女神は美と芸能、福徳の象徴でもあります。特に市杵島姫命は弁才天(弁財天)と同一視されるようになり、女性に人気の高い神様となりました。
  3. 朝廷・武家からの篤い信仰
     古代より遣唐使や水軍の航海安全を守護し、中世には源氏や平家の信仰を集めました。平清盛が厳島神社を篤く崇敬したのは有名です。

🕉神仏習合の影響 ― 弁才天信仰との融合

宗像三女神の信仰は、平安~鎌倉時代にかけて**弁才天(弁財天)**信仰と融合しました。

弁才天は元々インドのサラスヴァティー神で、音楽・学芸・財運の女神。
宗像三女神と弁才天の「女性神」「水神」「美の象徴」という共通点から習合が進み、
特に市杵島姫命=弁才天として信仰されるようになります。

このため、宗像系神社では「水辺」「音楽」「芸能」「金運」などのご利益が強調される傾向があります。


✨まとめ

項目内容
系統本社宗像大社(福岡県宗像市)
主祭神宗像三女神(田心姫神・湍津姫神・市杵島姫神)
ご利益海上安全・交通安全・美・芸能・財運
有名分社厳島神社、江島神社、竹生島神社など
神仏習合弁才天信仰と融合(市杵島姫命=弁才天)

🪷おわりに

宗像大社系の神社は、海を渡る人々を守り続けた信仰の証であり、
同時に「女性の力」「美と芸能の神」として現代にも息づいています。
海に面した神社を訪れると、宗像三女神の柔らかで力強い気配を感じられるでしょう。

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