【神社めぐり】二荒山神社(栃木県・日光)

今回は栃木県日光市に鎮座する「二荒山神社(ふたらさんじんじゃ)」について紹介します。日光東照宮と並び、日光信仰の源流ともいえる存在で、古代から遥拝され続けてきた霊峰「男体山」そのものを祀る神社です。日光の成り立ちと国家規模の信仰史を考える上で、この神社は欠かせません。

■御祭神

大己貴命
田心姫命
味耜高彦根命

※この三柱を総称して「日光三所権現」と称し、奈良・平安期には山岳信仰と仏教信仰が融合していきました。

■由緒・歴史的背景

二荒山神社の歴史は非常に古く、その始まりは奈良時代に遡るともいわれます。勝道上人が男体山を開山し、日光山の信仰を確立したことで、国家からも強い信仰対象となり、延喜式にも記載される式内社で、下野国一宮としての格式を持ちます。

特に平安時代以降、日光信仰は皇室・武家との関係が深まり、山岳修行の場としても栄えた重要拠点となりました。その後徳川家康の東照宮創建によって日光全体の信仰世界が再編される中でも、二荒山神社は「古来の日光信仰の本源」を示す柱として重要な位置を保ち続けました。

■不思議な話・注目点

二荒山神社における最大の特徴は「山そのものが御神体」であるという点です。男体山はそのまま神として祀られ、山への登拝は古来より神事として扱われてきました。

また、境内には「良縁」「縁結び」「子授け」の信仰が非常に強く、特に良縁のご利益で知られています。これは御祭神が家族の三神である事から来る”家族神=縁を結ぶ神”という信仰形態が自然発展してきたとも言えます。ここに日光信仰の穏やかな民間浸透も見られます。

■見どころ

・神橋
日光に入る象徴の橋で、古くは神域への入口を示すとされた存在。現在でも特別感の強い日光の代表的景観です。

・本社境内
日光東照宮とはまた異なる、古い神社の空気が濃い。「東照宮以前の信仰」を感じたい人は必ず訪れるべき場所です。

・男体山登拝
夏期には登拝が可能で、頂上には奥宮。まさに霊山そのものへの信仰を体感できます。

■まとめ

二荒山神社は日光信仰の根源であり、日本の山岳信仰の大きな流れの中に存在する重要な神社です。東照宮とセットで語られる事が多いですが、歴史を見る上では「二荒山が原点」である事を理解しておく事が非常に大切です。

日光を巡る旅では、必ず最初に訪れるべき場所。歴史的・霊的日光の入口、それが二荒山神社です。

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