~日本神話に深く関わる「水」と「御子誕生」の女神~
玉依姫命(たまよりひめのみこと)は、日本神話において非常に重要な存在感を持つ女神です。
神話の中では“神と人の世界をつなぐ姫”として語られ、天孫・王統神話にも影響を与える重要な女神でもあります。
■玉依姫命の特徴と役割
玉依姫命は、一般的には「水の神」「霊的媒介の神」とされることが多い存在です。
「玉依」=魂が依り付く
という言葉が示すように
神霊が宿る器となる巫女的なニュアンスも強く持っています。
そしてもう一つの大きな役割が
神の御子を生む母神
としての立場。
玉依姫命は神と人との血脈を繋ぎ、
王統や氏族のルーツに直結していく物語の鍵を握っています。
■代表的な神話
神武天皇の兄である**彦火火出見命(ひこほほでみのみこと)**との間に
**鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)**を生んだとされます。
この御子は 神武天皇の父。
つまり玉依姫命は
天皇家系譜の根幹を形成した“皇祖の母神”
として神話史の中で重要な位置付けとなります。
■祀られる主な神社
- 上賀茂神社(賀茂別雷神社 / 京都府)
主祭神の賀茂別雷命の母神が玉依姫命。非常に重要な縁の神。 - 下鴨神社(賀茂御祖神社 / 京都府)
こちらは玉依姫の母である賀茂建角身命と関わる地。
賀茂社に関わる信仰において、
玉依姫命は “賀茂の母神” として祀られてきました。
■ご利益
- 良縁
- 安産
- 子授け
- 家内繁栄
- 浄化・厄祓い(水属性)
母神であり「霊が依る巫女的側面」を持つため
魂の巡りを整える・縁を結ぶ
という方向性を持つご利益が語られるのが特徴です。
■まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 神名 | 玉依姫命 |
| 属性 | 水・縁・御子誕生・霊媒性 |
| 位置付け | 神と人を繋ぎ、王統の母となる神 |
| 代表的関係神 | 彦火火出見命・鵜葺草葺不合命 |
| 著名神社 | 上賀茂神社(京都) |
| ご利益 | 良縁・安産・子授け・家内の繁栄 |
玉依姫命は「水と縁」の働きを持つ
非常に柔らかい女神でありながら
王統の血脈を直接繋いだ母神でもあります。
その“静かだが、極めて大きな影響力”が
玉依姫命の最大の魅力といえる神格です。

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