山梨県内にも数多くの「浅間神社」が存在し、静岡と同様に“富士山そのものを神として敬う信仰”の拠点として発展してきました。ここでは代表的な 北口本宮冨士浅間神社(富士吉田市) を中心に紹介します。山梨側からの富士登拝の起点として、古代より篤い信仰が続く名社です。
御祭神
- 木花開耶姫命(コノハナサクヤヒメ)
富士山の神霊を象徴する女神。安産・子授け・火難除けの御神徳で知られる。 - 彦火瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)
- 大山祇神(オオヤマツミノカミ)
富士山信仰の神格ラインの中心が明確です。
由緒・歴史
富士山北麓に鎮座し、富士登拝の「北口」の起点として機能してきた神社。
日本書紀にも記される浅間信仰の非常に古い系譜を引く神社で、奈良~平安期には富士山が繰り返し噴火する中、山の怒り(火)を鎮める目的で特に重視されました。
富士吉田市という位置は、古代から旅・修験・山岳信仰の交差点であり、江戸期の「富士講」が盛んになった際にも中心地となりました。
見どころ
重厚な社殿と参道
樹齢数百年クラスの杉並木が続く参道はまさに霊域。
社殿も威厳があり、富士山と真正面で向き合う配置が特徴的です。
富士山遥拝
境内から仰ぐ富士山の存在感は圧倒的。
晴天時の神々しさはまさに「神をそのまま仰ぐ」信仰の形を体験できます。
日本武尊像
富士登拝と関係が深い日本武尊の存在も象徴的。
富士信仰には皇室・国家の物語が密接に絡んでいることがわかるエリアです。
祭事
2月の節分祭、7月の「富士山山開き」、そして8月の火祭り(吉田の火祭り)は特に有名。
火の神・噴火鎮静の信仰が根底にある浅間神社の象徴的祭事です。
アクセス
山梨県富士吉田市
富士急行「富士山駅」から徒歩圏内
まとめ
山梨側の浅間神社は、富士山信仰の“北側ルートの核”であり、実際に富士を仰ぐ角度や参道の作りからも独特の霊気と歴史を感じることができます。
静岡の本宮とセットで参拝すれば、富士信仰の広がりと奥深さがより鮮明になります。
富士山を見るだけの旅ではなく、「富士という神を体験する旅」に変えてくれる神社です。


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