東京都江東区亀戸に鎮座する亀戸天神社(かめいどてんじんしゃ)。
「学問の神様」菅原道真公を祀る神社として知られ、
東京における天神信仰の中心です。
太宰府天満宮を模して造営されたことから、
「東宰府(ひがしたざいふ)」とも呼ばれ、江戸時代から庶民の信仰を集めてきました。
■ 亀戸天神社の概要
- 所在地:東京都江東区亀戸3丁目6番1号
- 主祭神:菅原道真公(すがわらのみちざね)
- 創建:寛文2年(1662年)
- 別称:東宰府天満宮、亀戸天満宮、亀戸天神さま
- ご利益:学業成就・合格祈願・厄除け・開運招福
■ 創建の由来 〜九州・太宰府の分霊を祀る〜
江戸時代初期、九州の太宰府天満宮の神官であった菅原道真公の末裔・菅原信祐(のぶすけ)公が、
太宰府の神霊を江戸に勧請したのが、亀戸天神社の始まりです。
寛文2年(1662年)に創建され、
「東の太宰府」として人々に親しまれるようになりました。
当時の江戸では、学問・芸能・文化の中心地が発展しつつあり、
学問の神・天神信仰が広く庶民に根付いていった時代でもありました。
■ 江戸庶民に愛された「亀戸の天神さま」
江戸時代には、「江戸名所図会」にも描かれたほどの名所で、
「亀戸の天神さま」として老若男女を問わず信仰されました。
特に受験や学問成就を祈願する人々が多く訪れ、
江戸後期には“合格祈願の聖地”として知られるようになります。
さらに、春には梅・藤・菊が咲き誇る名園としても人気が高く、
花見や行楽を楽しむ庶民の姿が浮世絵にも数多く描かれています。
■ 見どころ①:太鼓橋(男橋・女橋)
境内のシンボルといえば、
社殿へと続く2つの太鼓橋(たいこばし)。
入口側の**「男橋」は過去、中央の「平橋」は現在、
社殿前の「女橋」**は未来を象徴しており、
三つの橋を渡ることで「人生を見つめ直し、未来へ進む」意味があると伝えられています。
水面に映る橋の美しさはまさに「東の太宰府」。
藤や梅が咲く時期には写真スポットとしても大人気です。
■ 見どころ②:藤の名所「亀戸天神の藤まつり」
亀戸天神社は、江戸時代から藤の花の名所として有名です。
例年4月中旬〜5月上旬にかけて「藤まつり」が開催され、
15棚を超える藤棚が一斉に紫の花を垂らします。
太鼓橋の上から見る藤の花と東京スカイツリーの共演は、
まさに「古と今の融合」。
夜にはライトアップされ、幻想的な光景が広がります。
この藤の美しさは、葛飾北斎の浮世絵「亀戸天神境内」でも描かれています。
■ 見どころ③:梅まつり・菊まつりも人気
天神様といえば、菅原道真公が愛した梅の花。
境内には約300本の梅が植えられ、2月には「梅まつり」が開催されます。
また、秋には「菊まつり」も行われ、
多くの愛好家が丹精込めた菊の花を奉納します。
四季折々の花が楽しめる亀戸天神社は、
“江戸の花の名所”として今も多くの人々を惹きつけています。
■ 見どころ④:撫で牛と学業成就
境内には、天神様の使いとされる撫で牛が鎮座しています。
自分の体の悪い部分を撫でてから牛の同じ場所を撫でると治る、
あるいは頭を撫でると「賢くなる」といわれています。
また、学業成就・合格祈願の絵馬が無数に掛けられ、
受験シーズンには学生や家族の真剣な祈りで境内が溢れます。
■ 見どころ⑤:スカイツリーとの絶景コラボ
近年では、境内から東京スカイツリーを背景にした写真が撮れる
絶景スポットとしても人気です。
歴史ある社殿と近代の象徴・スカイツリーが一緒に収まる光景は、
「古と今の東京」を象徴する一枚。
季節ごとに違った表情を見せるため、写真愛好家にも人気の場所です。
■ 年中行事
- 1月:初天神(筆始祭)
→ 学問や書道の上達を祈願する。 - 2月:梅まつり
→ 約300本の梅が咲き誇る。 - 4〜5月:藤まつり
→ 江戸の昔から続く伝統行事。夜のライトアップも必見。 - 10月:菊まつり
→ 菊人形や盆栽が並び、秋の風情を感じられる。
■ アクセス情報
- 所在地:東京都江東区亀戸3丁目6-1
- アクセス:
・JR総武線「亀戸駅」北口より徒歩約15分
・東京メトロ半蔵門線「錦糸町駅」より徒歩約15分
・都バス「亀戸天神前」下車すぐ - 駐車場:あり(台数に限りあり)
■ まとめ
亀戸天神社は、
「江戸の粋」と「学問への信仰」が息づく、東京を代表する天神社です。
藤・梅・菊と、四季折々の花に包まれた境内は、
都会の喧騒を忘れさせてくれる癒しの空間。
受験や仕事、人生の節目に、
“努力と誠実”の象徴である天神様に祈りを捧げる――
そんなひとときを、東京・亀戸で過ごしてみてはいかがでしょうか。


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