盛岡市の中心部、岩手公園(盛岡城跡公園)の一角に鎮座する桜山神社(さくらやまじんじゃ)。
盛岡城の歴史とともに歩んできたこの神社は、盛岡藩主・南部家の守護神として崇敬を集め、
今では盛岡市民にとって「郷土の心の拠り所」となっています。
春には桜が美しく咲き誇り、城跡の石垣とともに歴史と自然の調和を感じられる神社です。
■ 桜山神社の由緒
桜山神社の創建は、江戸時代の延享元年(1744年)。
南部藩第8代藩主・南部利視(としみ)公が、盛岡城の鎮守として建立したのが始まりです。
当初は「桜山大明神」と称され、南部家の祖神・先祖たちの霊を祀るための社として創建されました。
明治以降は神仏分離令により「桜山神社」と改称され、盛岡城の歴史とともに市民の信仰を集め続けています。
■ 主祭神とご神徳
- 主祭神:南部光行公(なんぶみつゆきこう)
- 相殿神:南部家歴代藩主・南部氏一族の祖霊
主祭神の南部光行公は、鎌倉時代初期にこの地を治めた南部家の祖とされる人物です。
源義経に従い奥州征伐に参陣したと伝えられ、のちに陸奥一帯を平定した武勇の将でもあります。
そのため桜山神社は、
武運長久・勝負運上昇・家内安全・繁栄守護のご利益があるとされ、
戦国武将や南部藩士の心の拠り所であり続けました。
また、南部家の精神を受け継ぐ「誠実」「義理」「忠義」を象徴する神として、今も多くの人々が崇敬しています。
■ 盛岡城との深いつながり
桜山神社が鎮座する場所は、かつての盛岡城本丸跡の一角。
盛岡城は南部信直公が築いた名城で、石垣の美しさでも知られています。
明治維新ののち、城が廃城となった際に本丸跡が「桜山公園」として整備され、
その中心に桜山神社が再建されました。
境内の石垣は江戸時代のままの姿を残し、神社の厳かな雰囲気に歴史の重みを添えています。
まさに「城とともに生きてきた神社」といえるでしょう。
■ 桜山神社の見どころ
● ① 雄大な石垣と城跡の風情
境内には、盛岡城時代の壮麗な花崗岩の石垣が残り、当時の城郭美を今に伝えています。
春には桜が咲き誇り、秋には紅葉が彩り、季節ごとに表情を変える風景は訪れる人を魅了します。
● ② 神社地下にある「烏帽子岩」
境内の地下にある奇岩「烏帽子岩(えぼしいわ)」は、桜山神社を象徴するパワースポット。
岩手山の噴火によって飛来したと伝わる巨石で、
古来より「盛岡の鎮め石」「地霊の宿る岩」として信仰を集めています。
岩に触れると運気上昇・厄除けのご利益があるといわれています。
● ③ 風情ある参道と「桜山商店街」
鳥居をくぐると、境内には地元の味や文化を楽しめる桜山商店街が広がります。
名物のじゃじゃ麺や郷土料理が並び、参拝後に地元の味を楽しむ観光客も多く見られます。
■ 四季折々の祭事
桜山神社では、年間を通して多くの祭典や行事が行われます。
- 春祭(4月中旬):桜の開花とともに神事が行われ、盛岡の春を告げる行事。
- 例大祭(9月中旬):南部家の祖霊を慰め、五穀豊穣を祈る盛大な祭典。
- 除夜祭(12月31日)・歳旦祭(1月1日):新年を迎えるための厳粛な儀式。
祭りの時期には参道に屋台が並び、地元の人々で賑わいます。
■ アクセス情報
- 所在地:岩手県盛岡市内丸1-42
- アクセス:
JR「盛岡駅」から徒歩約20分、または岩手県交通バス「県庁・市役所前」下車徒歩3分 - 駐車場:あり(無料・台数制限あり)
盛岡城跡公園の中心にあるため、観光散策と合わせて訪れるのにぴったりの立地です。
■ まとめ 〜南部家の誇りを今に伝える社〜
桜山神社は、単なる城跡の神社ではなく、南部家の精神と盛岡の歴史そのものを象徴する場所です。
その静謐な境内には、武士たちの祈りと、盛岡の町を見守り続けてきた神々の気配が息づいています。
春には桜、秋には紅葉が彩る盛岡城跡とともに、
ぜひ一度訪れて、東北の歴史と信仰の重なりを感じてみてください。


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