【神社めぐり】伊勢神宮・外宮別宮 多賀宮 〜豊受大御神の力強き御魂を祀る高台の社〜

三重県伊勢市にある伊勢神宮・外宮(豊受大神宮)。
その境内の高台に鎮座する**多賀宮(たかのみや)は、外宮四別宮の中で最も格式が高く、
外宮の主祭神・豊受大御神(とようけのおおみかみ)の
荒御魂(あらみたま)**をお祀りしています。

静寂に包まれた外宮の森の中で、唯一高台に建つその姿は、「神の強き力が宿る場所」として古くから崇敬を集めてきました。


■ 多賀宮とは

多賀宮は、外宮の第一別宮として位置づけられています。
創建年代は定かではありませんが、外宮本殿(豊受大神宮)の建立とほぼ同時期、
およそ**1500年前の雄略天皇の御代(5世紀頃)**に創建されたと伝えられています。

外宮の神々の中でも特に重要な存在であり、古代から「外宮の別宮の中の第一」として崇められてきました。


■ 主祭神と御神徳

  • 御祭神:豊受大御神荒御魂(とようけのおおみかみのあらみたま)

豊受大御神は、内宮の天照大御神に食事を捧げる「御饌都神(みけつかみ)」として知られる神。
穏やかで慈しみ深い「和御魂(にぎみたま)」を本宮で、
行動力・守護力に満ちた「荒御魂(あらみたま)」を多賀宮でお祀りしています。

そのため、多賀宮は特に行動・発展・挑戦・再生といった「動」の力を授けてくださる神として信仰されています。
困難に立ち向かう時、新たな一歩を踏み出したい時に参拝すると良いとされます。


■ 名称の由来

「多賀(たか)」の名は、古語で「高い場所」「尊い場所」を意味します。
その名の通り、多賀宮は外宮の境内の中でも最も高い丘の上に鎮座しています。

参道の石段を登るにつれて、森の空気がより清らかに感じられ、
頂上にたどり着いた時には、まるで天とつながるような感覚を覚える——。
それこそが「多賀宮」という名に込められた信仰の象徴なのです。


■ 外宮四別宮のひとつ

外宮には、主祭神の豊受大御神に関係する四つの別宮があります。

別宮名祭神特徴・ご神徳
多賀宮豊受大御神荒御魂外宮第一別宮。行動・発展・挑戦の象徴
土宮(つちのみや)大土御祖神(おおつちみおやのかみ)大地の守護神。建築・土地の守り
風宮(かぜのみや)級長津彦命・級長戸辺命風を司る神。農業・航海・天候の守護
月夜見宮(つきよみのみや)月夜見尊外宮の別宮のひとつで、外宮外苑に鎮座

この中で多賀宮は、外宮本殿の「奥之院」とも呼ばれ、
特に重要な儀式が行われる最上位の別宮として位置づけられています。


■ 境内と参拝の順序

多賀宮は外宮本殿の南側、参道を進んだ先の小高い丘の上にあります。
本宮を参拝した後に、多賀宮・土宮・風宮の順にお参りするのが正式な作法です。

▪️ 多賀宮への道のり

本宮から南へ進み、石畳の参道をしばらく歩くと、木々に囲まれた長い石段が現れます。
この石段は98段あり、まるで神の領域へと近づいていくかのよう。
登り切った先に、荘厳な社殿が静かに佇んでいます。

その凛とした空気に包まれると、自然と背筋が伸び、心が研ぎ澄まされていく感覚を覚えることでしょう。


■ 社殿の造りと様式

多賀宮の社殿は、本宮と同じ唯一神明造(ゆいいつしんめいづくり)
檜の素木造りで、屋根には千木・鰹木が施されています。

20年ごとに本宮とともに行われる式年遷宮では、多賀宮も新しく造り替えられます。
外宮の神事の中でも、特に多賀宮の遷宮は重要視されており、
「神の御力が新たに宿る瞬間」として、古来より多くの人々がその時を見守ってきました。


■ ご利益と信仰の広がり

多賀宮は、その強いエネルギーから、
「挑戦する人」「新しい道を切り開く人」を守護する神として信仰されています。

  • 新しい事業を始める
  • 転職や進学など人生の転機に立つ
  • 災厄を乗り越えたい
  • 停滞を打破したい

そんな時に参拝することで、豊受大御神の荒御魂の「活力」「前進の力」をいただけるといわれています。


■ アクセス情報

  • 所在地:三重県伊勢市豊川町279(外宮境内)
  • 交通アクセス
     JR・近鉄「伊勢市駅」から徒歩約10分
     伊勢自動車道「伊勢西IC」から車で約5分
  • 拝観時間:5:00〜18:00(季節により変動)
  • 拝観料:無料

外宮参拝の際は、本宮を参ったあとに必ずこの多賀宮にも足を運びましょう。


■ まとめ 〜「行動の神」が宿る外宮の聖域〜

伊勢神宮・外宮の別宮「多賀宮」は、
豊受大御神の荒御魂を祀る、外宮でもっとも力強い神域です。

静かな森に囲まれた高台の社に立つと、自然と勇気が湧き、
「さあ、また一歩進もう」と背中を押されるような感覚に包まれます。

人生の節目や新しい挑戦の前に、ぜひ一度、多賀宮の清らかな空気に触れてみてください。
そこには、太古から変わらず流れる「神の息吹」と「前進の力」が宿っています。


次回は、多賀宮と並ぶ外宮の別宮「風宮」について詳しく解説し、
その神徳と由緒を紐解いていきます。続けてご紹介しましょうか?

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