■ 日本神話の原点、清らかな「禊(みそぎ)」の地
宮崎県宮崎市阿波岐原町(あわきがはらちょう)に鎮座する**江田神社(えだじんじゃ)は、神話の父神伊邪那岐命(いざなぎのみこと)**を主祭神とする古社です。
古事記・日本書紀に記される「禊(みそぎ)」の舞台として知られ、日本神話の再生の物語が始まった場所とも言われています。
この地は、黄泉の国から戻った伊邪那岐命が身を清めた場所──その「禊」によって、天照大神・月読命・素戔嗚尊の三貴神が生まれたと伝えられます。まさに、「日本神話の再出発点」ともいえる聖地です。
■ 御祭神とご由緒
- 主祭神:伊邪那岐命(いざなぎのみこと)
- 相殿神:伊邪那美命(いざなみのみこと)
『古事記』によると、伊邪那岐命は亡き妻・伊邪那美命を黄泉の国に訪ね、帰還した後、穢れを祓うために「筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原」にて禊を行いました。
その地こそが、江田神社の鎮座する阿波岐原であるとされています。
禊の際、左目を洗ったときに天照大神、右目から月読命、鼻を洗ったときに素戔嗚尊が誕生。ここから、日本の国土と神々の秩序が整えられていくのです。
江田神社は、この“天地開闢後の神々の再生”を象徴する場所として、古代より厚い信仰を集めてきました。
■ 歴史
江田神社は古くから「阿波岐原の禊の地」に鎮座する聖域として崇敬され、日向国延喜式内社のひとつに数えられています。
その創建は不詳ながら、古代にはすでにこの地が「浄化と再生の聖地」として崇められていたことが、地名や文献からも明らかです。
江田神社の東方には、伊邪那岐命が実際に禊を行ったとされる場所「みそぎ池(禊池)」があり、古代信仰の原型を今に伝えています。
■ 見どころ
● みそぎ池(禊池)
江田神社の東に広がる「みそぎ池(御池)」は、伊邪那岐命が身を清めたとされる伝説の地です。
清らかな水面が神話の世界そのもののようで、訪れる人々は自然と心が静まり、神聖な空気に包まれます。
池のそばには「みそぎ御殿」があり、現在も禊や神事が行われる特別な場所です。
● 江田神社の社殿
現在の社殿は、江戸時代中期に再建されたもの。朱色の社殿が青空と緑に映え、凛とした美しさを放ちます。
境内は常に整備が行き届いており、清浄さが保たれていることから、地元では「心を浄める神社」として知られています。
● 神話の碑と神代の森
境内には、「日本神話発祥の地」と刻まれた碑が建ち、周囲の森は「神代の森」と呼ばれています。
古代から神々が宿ると信じられた森で、木々の間を吹き抜ける風がどこか懐かしく、神話の息吹を感じさせます。
■ ご利益
伊邪那岐命の「禊」に由来する江田神社は、
- 厄除け・浄化
- 心身清浄
- 再生・開運
- 良縁祈願・家内安全
といったご利益があるとされます。
人生の節目、新しい挑戦の前など、「心のリセット」をしたい時に訪れると良いといわれています。
■ アクセス情報
- 所在地:宮崎県宮崎市阿波岐原町産母127
- アクセス:宮崎駅から車で約15分
- 駐車場:あり(無料)
- 周辺スポット:みそぎ池、青島神社、宮崎神宮
■ まとめ:日本神話の息吹が残る“再生の聖地”
江田神社は、ただの「古い神社」ではありません。
ここは、日本の神話が再び動き出した場所であり、
「清め」「再生」「はじまり」という力を宿す神域です。
訪れると、穏やかな風とともに心が澄み渡り、
まるで自分自身が“新たに生まれ変わる”ような感覚に包まれます。
神話の舞台を今に伝える聖地──
**江田神社はまさに、“日本のはじまりを感じる場所”**です。


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