島根県雲南市木次町に鎮座する**赤猪岩神社(あかいいわじんじゃ)は、『古事記』に記される素戔嗚尊(すさのおのみこと)と櫛名田比売(くしなだひめ)**の物語に深く関わる、神話の舞台として知られる神社です。
出雲神話の中でも特に重要なエピソードである「八岐大蛇(やまたのおろち)退治」の前段となる“出会い”の伝承が色濃く残る場所で、近年はパワースポットとしても注目されています。
境内は深い森と巨石に囲まれ、訪れると神話の空気がそのまま残っているような荘厳な雰囲気に包まれます。
■ ご祭神
主祭神:素戔嗚尊(すさのおのみこと)
相殿:櫛名田比売(くしなだひめ)・足名椎(あしなづち)・手名椎(てなづち)
八岐大蛇伝説に登場する、櫛名田比売とその両親も祀られています。
素戔嗚尊がこの地で櫛名田比売と出会い、運命を感じたとされることから、「縁結び」「悪縁を断つ」「家族守護」のご利益で古くから信仰されています。
■ 赤猪岩神社の神話と伝承
● 八岐大蛇退治前の“出会いの地”
赤猪岩神社の周辺は、素戔嗚尊が高天原を追放され、出雲の斐伊川(ひいかわ)上流のこの地に降臨した舞台と伝わります。
その際、素戔嗚尊が出会ったのが、泣きながら佇む足名椎・手名椎夫妻と娘の櫛名田比売。
夫妻が語ったのが「八岐大蛇に毎年娘を一人ずつ食われており、今年は櫛名田比売の番」という悲痛な事実でした。
● 赤猪岩(あかいいわ)と猪目(いのめ)文様
神社名の由来となる赤猪岩には、猪の目の形に似た「猪目文様」が刻まれています。
この文様は日本古来の魔除けのシンボルであり、古代信仰の痕跡として極めて貴重です。
巨石そのものも古代祭祀の岩座(いわくら)として扱われており、神話の現場をそのまま伝える“生きた遺跡”とも言われています。
■ 境内の見どころ
◆ ① 赤猪岩(巨石祭祀跡)
境内の中心に構える巨大な赤い岩。
猪目文様のほか、古代人による加工の痕跡があり、縄文から弥生期の祭祀との関係も指摘されています。
この岩の前で、素戔嗚尊が櫛名田比売の運命を聞き、決意を固めたと伝わります。
◆ ② 静寂に包まれた社殿と神域
深い森に囲まれた神域は、訪れるだけで心が清められるよう。
社殿は小規模ながら端正で、岩座が主役の神社らしい静謐さが漂います。
◆ ③ 夫婦円満・縁結びの参道
参道沿いには、夫婦杉や縁結びの石があります。
神話ゆかりの素戔嗚尊と櫛名田比売にちなんで、近年は縁結びスポットとして人気が高まりつつあります。
■ 神社の歴史
創建年代は不詳ですが、古来この地は斐伊川上流の祭祀場として重要視されてきました。
赤猪岩の巨石祭祀は非常に古く、神社という形態が整う前から信仰の対象であったと考えられています。
また、近隣の「湯野神社」「須我神社」と合わせて、**素戔嗚尊の足跡を辿る“出雲神話巡り”**の重要拠点にもなっています。
■ 御朱印・授与品
- 赤猪岩の御朱印(猪目文様入り)
- 縁結び守
- 悪縁切り守
- 猪目お札(魔除け)
赤猪岩の文様をモチーフにした授与品は、古代文様の力強さを感じさせると評判です。
■ アクセス
所在地:島根県雲南市木次町寺領227
・JR木次線「木次駅」から車で約10分
・国道から近いが、神社周辺は森林に囲まれた静かな立地
・駐車場あり(やや小さめ)
■ 赤猪岩神社はこんな人におすすめ
- 素戔嗚尊や八岐大蛇伝説が好き
- 神話の“出会いの物語”に触れたい
- 縁結び・悪縁切りの参拝をしたい
- 古代祭祀や巨石信仰に興味がある
- 静かな神域で心を落ち着かせたい
赤猪岩神社は、出雲神話の源流に触れられる特別な場所です。
巨石の前に立てば、素戔嗚尊が初めて櫛名田比売と出会い、八岐大蛇退治を決意した瞬間の気配すら感じられるはず。
ほかでは味わえない“神話の現場”の空気を、ぜひ現地で体験してみてください。


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