【神社めぐり】海宮伝説が息づく—対馬・和多都美神社(わたづみじんじゃ)

長崎県対馬市の北部、浅茅湾を望む入り江にひっそりと佇む和多都美神社
ここは古来より海神(わだつみ)の宮として信仰され、『古事記』や『日本書紀』にもその名が登場する、日本屈指の海宮伝承地です。

鳥居が海に立ち、潮の満ち引きによって風景が変わる光景は、多くの参拝者を魅了し、「海の神域」という言葉がしっくりくる神社です。


■ 和多都美神社とは

神話に登場する“海の宮”

ご祭神は次の通りです。

  • 豊玉彦命(とよたまひこのみこと)
  • 豊玉姫命(とよたまひめのみこと)
  • 鵜茅葺不合命(うがやふきあえずのみこと)

豊玉姫命は海神の娘として知られ、山幸彦(彦火火出見尊)との神話「海幸山幸」の舞台としても有名です。
特に、“海神の宮”で山幸彦が龍宮のもてなしを受ける場面は古代ロマンに満ちています。

和多都美神社は、この海神の宮があったとされる地と伝わり、古くから海人族の崇敬を集めてきました。


■ 見どころ① 海に立つ二つの鳥居

和多都美神社の象徴といえばやはり、
海に向かって立つ二つの鳥居

潮が満ちると鳥居の下部が海に沈み、まるで海の中に鳥居が浮かんでいるような幻想的光景が広がります。
干潮時には鳥居の近くまで歩いて行けるため、潮の干満によってまったく異なる表情を見せる、非常に魅力的なスポットです。


■ 見どころ② 歴史を感じる社殿と自然の調和

社殿の背後には深い森が広がり、境内には龍宮伝説を思わせる静寂の空気が流れます。

・拝殿・本殿
・豊玉姫陵
・龍宮伝説の石碑
・海と森をつなぐ参道

特に、境内には**「竜宮伝説の地」**を示す石碑があり、神話時代と現代をつなぐような荘厳さがあります。


■ 見どころ③ 豊玉姫陵(とよたまひめりょう)

境内奥には、豊玉姫命の陵墓と伝わる古い塚があります。
大きな自然石を積み重ねた素朴な形をしており、古代祭祀の雰囲気を感じることができます。

豊玉姫命は安産・子授けの神としても信仰されており、今も参拝者が絶えません。


■ 和多都美神社の由緒

『日本書紀』にも「阿那賀海宮(あながうみのみや)」として登場し、
海神の宮がこの対馬にあったと記されています。

さらに、対馬は古代から大陸との交流拠点であり、
海人文化・海神信仰が濃厚に残る地域でもあります。

和多都美神社は、その中心的存在として、
海の安全・航海の守護神として篤く信仰されてきました。


■ アクセス

  • 所在地:長崎県対馬市豊玉町仁位55
  • アクセス:対馬空港から車で約45分
  • 駐車場:あり
  • 周辺スポット
    • 御岳(対馬の霊山)
    • 烏帽子岳展望台
    • 和多都美海岸

公共交通が限られているため、レンタカー利用がおすすめです。


■ まとめ

対馬の海と森に抱かれる和多都美神社は、神話と自然が見事に調和した唯一無二の聖地です。

  • 海に立つ鳥居は必見
  • 龍宮伝説の舞台として古代ロマンが漂う
  • 潮の干満で風景が変わる神秘的スポット
  • 子授け・安産、航海安全のご利益

対馬を訪れるなら、必ず足を運びたい名社のひとつです。

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