茨城県南部、利根川と常陸利根川の合流点近くに鎮座する息栖神社。
鹿島神宮・香取神宮とともに**「東国三社」**を構成する格式高い神社です。
静かな森に囲まれた境内、そして“日本三霊泉”にも数えられる「忍潮井(おしおい)」があることで知られ、参拝者に「心が洗われるような神社」として親しまれています。
今回はその歴史や由緒、見どころをたっぷり解説します。
■ 息栖神社とは
● ご祭神
息栖神社のご祭神は次の通りです。
- 久那戸神(くなどのかみ)
- 天乃鳥船命(あめのとりふねのみこと)
久那戸神は、道を開き、塞ぎ、境の秩序を守る神。
神域への“門守り”として重要な神格です。
天乃鳥船命は、神々を導いた“天の船の司り神”。
交通安全、航海安全の神として信仰されています。
さらに、相殿には
- 住吉三神
もお祀りされており、古代の水辺信仰が色濃く残ります。
■ 東国三社の中で“門”を守る息栖神社
鹿島神宮・香取神宮とともに「東国三社詣」で訪れる方が多い息栖神社。
三社の中では最も静かで落ち着いた雰囲気があり、
「気持ちが浄化される神社」「心が整う」と評判です。
古来より、
- 鹿島=武
- 香取=政
- 息栖=門(境の守り)
という役割を担ったとされ、
東国の神々のバランスを保つ重要な存在でした。
見どころ
■ ① 日本三霊泉「忍潮井(おしおい)」
息栖神社最大の見どころといえば、境内の入口近くにある忍潮井(おしおい)。
● 忍潮井とは?
- 古くから清冽な水が湧き続けている名水
- 全国でも珍しい淡水の湧き井戸が二つ並ぶ
- 「日本三霊泉(※)」のひとつ
※ほかは厳島神社・霧島神宮の霊泉とされる
井戸の中には、
- 男瓶(おがめ)
- 女瓶(めがめ)
が沈んでおり、これをのぞき見ると「ご利益がある」とされます。
水は非常に澄んでおり、今も地元の方々が汲みに訪れるほどの清涼さです。
詳しくは別の記事でまとめているので、そちらの記事もご覧ください。
■ ② 随神門と落ち着いた参道
息栖神社の随神門は朱色が印象的で、周囲の自然の緑とのコントラストが美しいスポットです。
門をくぐると、
- 静かでまっすぐ伸びる参道
- 清々しい空気
- 古木が並ぶ神聖な空間
が広がり、歩くだけでも気持ちが整います。
■ ③ 社殿の荘厳な佇まい
現在の社殿は江戸時代後期の造営によるもので、拝殿・本殿ともに素朴ながら品格が感じられます。
特に、
- 拝殿前に立つ狛犬
- 朱塗りの楼門と本殿の調和
- 江戸期の彫刻や意匠
など、見どころが豊富です。
■ 息栖神社の由緒
息栖神社は古い記録にその名が登場し、
創建は不詳ながら非常に古い神社と考えられています。
『常陸国風土記』にはこの地域の水利や交通に関する記述があり、
この地が古代から水上交通の拠点であったことから、
水辺を守る神・道の守り神として息栖の神が祀られたと考えられています。
中世には鹿島神宮・香取神宮との結びつきが深まり、
江戸時代には徳川家から朱印地を与えられ、格式の高い神社として繁栄しました。
■ ご利益
息栖神社は、以下のご利益で知られます。
- 道開き
- 厄除け
- 交通安全
- 航海安全
- 心身の浄化
- 人生の境目における守護
特に“道を開く神”として、新たな挑戦を始める人に人気です。
■ アクセス
- 所在地:茨城県神栖市息栖2882
- 公共交通:鹿島神宮駅からバス(本数少なめ)
- 車がおすすめ:東国三社をめぐるならレンタカーが便利
- 駐車場:あり
■ まとめ
息栖神社は、静かで穏やか、心が澄み渡るような神社です。
- 東国三社のひとつ
- 日本三霊泉「忍潮井」がある
- 久那戸神による“道開き”のご利益
- 水辺の古代信仰が息づく神域
- 鹿島・香取とは違った穏やかな魅力
鹿島・香取を訪れたなら、ぜひ息栖神社にも足を運び、
東国三社の物語を体感してみてください。


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