お正月の賑わいがひと段落した1月7日前後、各地の神社で行われるのが
「七草祭(ななくささい)」や「春祈祷(はるきとう)」 です。
「春の無病息災を祈るお祭り」と言われますが、その背景には古代から続く 邪気祓いの風習 や、 新しい一年の平安を祈る祈祷 が深く結びついています。
この記事では、
✔ 七草祭の由来
✔ 春祈祷の目的
✔ 神社で行われる神事の意味
をわかりやすく解説していきます。
■七草祭・春祈祷とは?
七草祭・春祈祷とは、
新年を健やかに過ごすための“無病息災祈願の神事” です。
1月7日を中心に行われ、神職が氏子・地域の人々の一年の健康、家内安全を祈り上げます。
古来の“七草”の風習と神道儀礼の祈祷行事が組み合わさったものともいえます。
■七草祭の由来
●起源は中国の「人日(じんじつ)」の節供
七草の行事の起源は、古代中国にある 「人日(じんじつ)」 と呼ばれる節供(せっく)です。
人日は、
“人を大切にする日=人の運命を占う日”
とされ、七種類の若菜を食べる風習がありました。
これが平安時代に日本へ伝わり、宮中や貴族社会で行われるようになります。
●日本の古来風習「若菜摘み」と融合
一方、日本でも早春に若菜を摘み、
生命力をいただく“若菜摘み” という風習が古くから存在しました。
この“若菜の力をいただく”という日本固有の文化と、
中国から伝わった人日の風習が重なりあい、
七草粥や七草祭の起源となったのです。
■七草の意味と象徴
七草粥で知られる春の七草は以下のとおりです。
- せり:競り勝つ
- なずな:撫でて清める
- ごぎょう:仏体を表す草
- はこべら:繁栄
- ほとけのざ:仏の安らぎ
- すずな(かぶ):神を呼ぶ鈴
- すずしろ(大根):清らかさ
これらは 邪気を祓い、生命力を授かる草 とされ、
七種を合わせて食することで、
一年の無病息災・健康長寿 を祈る意味があります。
■春祈祷とは?
春祈祷は、新年の参拝者に対して神職が
一年の家内安全・商売繁盛・健康・学業成就
などを祈願する儀式です。
七草祭と同日に行われることが多く、神社によっては以下の名称で呼ばれることもあります。
- 春祭
- 年初祈祷
- 厄除祈祷
- 初祈祷
いずれも「一年の清らかな出発を祈る神事」という点に共通しています。
■七草祭・春祈祷の目的
七草祭・春祈祷には主に次の目的があります。
① 無病息災を祈る
新年に最も大切とされる祈りが 健康。
古来の日本では、病や災いは“穢れ”と結びつくと考えられており、
一年の初めにこれを遠ざけることが重視されてきました。
② 邪気祓いと厄除け
七草の若菜の生命力は「邪気を祓う力がある」とされました。
春祈祷ではさらに神職が祝詞を奏上して、
その人の邪気・厄を祓い、一年間の安寧を願います。
③ 家内安全・商売繁盛などの願いを神前に届ける
春祈祷では一年の願いごとを神様に奉告し、
家族の平安・商売・学業成就など を祈願します。
初詣だけではなく、
「一年の願いをあらためて神様に伝える日」
という意味合いもあるのです。
④ 新しい春の始まりを告げる儀式
春の訪れを告げる「節供」の一つとして、
自然の巡りと命の力を感じる儀式でもあります。
■神社ではどのように行われる?(一般的な流れ)
神社によって異なりますが、よく見られる流れは次の通りです。
- 手水・修祓(しゅばつ)
- 祝詞奏上
- 七草の奉納(七草粥を炊く神社もある)
- 玉串奉奠
- 参列者の拝礼
祈祷として受ける場合は個人や家族単位で申し込める神社がほとんどです。
■参拝前に知っておくとよいポイント
●七草粥は神社で振る舞われることもある
地域によっては七草粥の無料(または志納金)頒布があり、
その土地ならではの味を楽しむことができます。
●厄年の人にとって大切な節目
七草祭の時期は、厄除け祈願の申し込みが最も多い時期。
一年の邪気を祓う最初のタイミングとして最適です。
●一年の計をもう一度整える日
初詣は混雑しがちですが、1月7日前後は比較的落ち着き、
ゆっくりと神様に願いを届けられる日でもあります。
■まとめ:七草祭・春祈祷は“一年の健康と平安を祈る最初の節目”
七草祭・春祈祷は、
若菜の生命力をいただき、邪気を祓い、新しい春の平安を願う神事。
その根底には、
「一年を健やかに過ごしたい」という願いと、
「自然の力をいただく」という古来の考え方が息づいています。
参拝の前に意味を知っておくと、
七草祭は単なる行事ではなく、
一年を整える大切な節目 としてより深い時間になります。


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