【神社めぐり】日枝神社(東京都千代田区)

― 都心で出会う「山の神」と徳川の守護 ―

東京都千代田区永田町。国会議事堂のほど近く、オフィス街とは思えない静けさを湛える「日枝神社(ひえじんじゃ)」は、江戸の総氏神として徳川家から篤く崇敬された由緒正しい神社です。
山王信仰の中心として知られ、赤い鳥居が連なる山王鳥居や荘厳な社殿は、都心とは思えない神聖な空気を感じられる特別な場所。今回は、そんな日枝神社を深く掘り下げてご紹介します。


■ 日枝神社の由緒

日枝神社は、天皇の住まいである皇居を守護する「皇城鎮護(こうじょうちんご)」の神社として、非常に重要な位置づけを持つ神社です。

その起源は室町時代の長禄元年(1457年)。太田道灌が江戸城を築いた際、城の守護として川越日枝神社の御分霊を勧請したのが始まりとされます。
その後、徳川家康が江戸幕府を開いた際、日枝神社は江戸の総鎮守として特に厚く崇敬されました。

江戸三大祭の一つ「山王祭」は、江戸時代には天下祭と呼ばれ、将軍に直接拝謁できる数少ない祭礼として有名でした。


■ ご祭神

日枝神社の主祭神は以下の通りです。

  • 大山咋神(おおやまくいのかみ)
     山の神・土地を守護する神。比叡山の日吉大社の主祭神としても知られています。
  • 相殿神
     ・大己貴神(おおなむちのかみ)
     ・田心姫神(たごりひめのかみ)
     ・高龗神(たかおかみのかみ)

神々はすべて国土の安定・繁栄、農耕、勝運、良縁、商売繁盛など幅広いご利益を司る神様です。特に企業・政治の中心地に鎮座することから、仕事運・出世運で人気があります。


■ 日枝神社のご利益

特に有名なのは次のものです。

● 仕事運・出世運

政治家、企業経営者、会社員、起業家などが多く参拝。「山王さま」は古くから権力者にも崇敬された神で、出世を後押しすると信じられています。

● 商売繁盛・社運隆昌

土地を守る神として、会社創業や法人祈願にも人気。

● 縁結び・安産

境内にいる神猿(まさる)像は、縁をつないだり安産を助ける象徴とされ、女性にも大人気です。


■ 見どころ

● 山王鳥居(さんのうとりい)

日枝神社の象徴とも言える鳥居。上部が山形になっており、山王信仰を示しています。写真映えスポットとしても有名。

● 神猿(まさる)像

「魔が去る」「勝る」に通じ縁起が良いとされる猿の像。夫婦猿が祀られており、安産祈願や夫婦円満・良縁の象徴。

● 表門の階段とエスカレーター

山の神の社らしく高台に位置しています。表参道には長い階段がありますが、右側にエスカレーターが設置されており、誰でも参拝しやすく配慮されています。

● 社殿

朱を基調とした華やかな社殿は昭和33年に再建されたもの。格式高い雰囲気が漂い、結婚式場としても人気です。


■ 年中行事

● 山王祭(さんのうまつり)

6月に行われる日本三大祭・江戸三大祭の一つ。
「天下祭」と称され、かつては将軍に神輿が拝謁した由緒ある祭りです。
神幸祭では神輿が皇居前広場を巡行し、都心を大きく彩ります。


■ アクセス

  • 所在地:東京都千代田区永田町2-10-5
  • 最寄り駅
     ・東京メトロ「溜池山王駅」から徒歩3分
     ・東京メトロ「赤坂駅」から徒歩5分
     ・東京メトロ「国会議事堂前」から徒歩5分

都心のど真ん中にありながら、境内に一歩足を踏み入れると静けさに包まれる不思議な空間。仕事の合間に参拝する方も多い場所です。


■ おわりに

日枝神社は、東京の中心にありながら本殿まで緑が豊かで心が整う神社です。出世運や仕事運を求める方はもちろん、良縁や家内安全を祈る方にもおすすめ。歴史とご利益の両面で魅力ある、まさに「江戸を守る山王さま」です。

次に都心へお出かけの際は、ぜひ足を運んでみてください。

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