名古屋市に鎮座する熱田神宮は、草薙剣を祀る日本有数の神社です。
この神社には、主祭神・熱田大神(草薙剣)をはじめ、ゆかりの深い**相殿神(あいどのしん)**たちが祀られています。
その一柱が「乎止與命(おとよのみこと)」。
あまり知られていない神様ですが、実は熱田神宮創建の背景に大きく関わる、尾張国の有力な人物でした。
🔷 乎止與命とは?
項目 | 内容 |
---|---|
読み方 | おとよのみこと(記では「乎止與命」、書では「弟彦命」とも) |
出自 | 尾張氏の祖神(尾張国の地方豪族の長) |
関係 | 宮簀媛命の父、日本武尊の舅(しゅうと)にあたる |
信仰 | 熱田神宮の相殿神の一柱として祀られる |
🔷 日本武尊との関わり
乎止與命は、尾張国を治めていた有力豪族の首長で、
**娘・宮簀媛命(みやすひめのみこと)**を日本武尊に嫁がせたと伝えられています。
日本武尊は東征の帰り道、伊吹山で命を落とすことになりますが、
その際、草薙剣を妻・宮簀媛命に預けていました。
この草薙剣は、のちに熱田神宮のご神体として祀られることになり、
乎止與命の一族が熱田の地で剣を守護する大役を担うことになったのです。
🔷 熱田神宮創建に果たした役割
草薙剣を守るため、宮簀媛命が熱田神宮を創建したという伝承の裏には、
その父・乎止與命の政治的・宗教的な支えがあったと考えられます。
つまり彼は、
- 日本武尊の精神的継承者として
- 草薙剣の守り人として
- 熱田神宮の礎を築いた実務的リーダーとして
神格化され、後世に祀られる存在となったのです。
🔷 なぜ神として祀られているの?
乎止與命は、神話時代の「国造(くにのみやつこ)」のような存在で、地域の安定・国家への貢献を果たした人物です。
その功績により、熱田神宮では「相殿神」のひとりとして祀られています。
相殿神とは、ご祭神に深く関わった神々であり、神社の運営や祭祀に関係の深い神様です。
乎止與命は、熱田の地に草薙剣を祀る体制を整えた守護神ともいえるでしょう。
🔷 ご利益は?
乎止與命の信仰から得られるとされるご利益には、以下のようなものがあります。
ご利益 | 内容 |
---|---|
家内安全 | 家族・血縁を大切にした神 |
祖先供養 | 地域の祖神として、氏子を守る |
統率力・統治力 | 地方の首長としてのリーダーシップの象徴 |
事業繁栄 | 土地を治める力=商売繁盛にもつながる信仰 |
🔷 乎止與命に出会える場所
◆ 熱田神宮(名古屋市熱田区)
- 主祭神「熱田大神(=草薙剣)」の相殿神のひとり。
- 拝殿にお名前は明記されていませんが、正式な神名に列せられています。
◆ 尾張地方の郷土信仰
- 特定の単独神社は少ないが、尾張氏ゆかりの神社の祖神として祭祀されている場合があります。
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