【仏様図鑑】千手観音(せんじゅかんのん)―千の手と千の慈悲で衆生を救う万能の観音菩薩

観音菩薩の中でもとくに威光を放ち、多くの人々に信仰されているのが「千手観音(千手観世音菩薩)」です。
千の手であらゆる苦しみを受け止め、千の目で世のすべてを見通して、衆生を慈悲の力で救うとされる観音様です。

この記事では、千手観音の由来・姿・信仰・ご利益まで、詳しく解説していきます。


■ 千手観音とは?

「千手」とは、文字通り「千の手」を持つことを意味し、正式には「千手千眼観世音菩薩(せんじゅせんげんかんぜおんぼさつ)」といいます。
仏教の教えでは、観音菩薩が衆生の苦しみの大きさを憂いて、そのすべてを救うために千の手と千の眼を持つ姿になったと伝えられています。

この千の手それぞれには目が宿っており、すべての苦しみを見つめ、救いの手を差し伸べることを象徴しています。


■ 千手観音の特徴

特徴内容
手の数通常は42本(実際には千手を象徴する表現)
持ち物各手に法具や宝珠、蓮華、数珠などを持つ
顔の数通常は11面または28面の頭上面を持つこともある
表情穏やかな顔に加え、憤怒の表情や菩薩顔もあり多様
姿勢立像が多いが座像も存在する

※実際に仏像として造像される際には、千の手すべてを表現することは困難なため、42本(40本の象徴手+合掌の2本)で「千手」の働きを象徴することが多くあります。


■ 千手観音のご利益

千手観音は「万能の観音」として、非常に広いご利益を持つとされています。

ご利益内容
万能救済あらゆる人々の悩み・苦しみ・病・災いを救う
病気平癒身体と心の健康回復を助ける
厄除け災厄や不運を払いのける
家内安全家族の安全と平穏を守る
安産・子授け妊娠や出産の加護をもたらす
交通安全旅や通勤・通学の安全祈願にも信仰される

■ 千手観音を祀る主な寺院

寺院名所在地特徴
長谷寺奈良県桜井市木造の十一面千手観音像(日本最大級)
清水寺京都市東山区本尊は十一面千手観音
三十三間堂(蓮華王院)京都市東山区千体千手観音立像が有名
宝厳寺(竹生島)滋賀県本尊に千手観音を祀る古刹
観音正寺滋賀県近江三十三観音霊場の一つ

■ 千手観音の真言

千手観音の真言は以下の通りです:

オン バザラ タラマ キリク
(または「オン ロケイ ジンバラ キリク ソワカ」などの異本あり)

この真言を唱えることで、千手観音の加護を得るとされます。


■ まとめ|千の手と千の眼で、あらゆる人々の願いを受け止める観音様

千手観音は、まさに「無限の慈悲」の象徴。
苦しむすべての人々に対し、その無数の手を差し伸べ、見逃すことなく救済の眼差しを向けてくれます。

悩みや不安を抱えたとき、千手観音に祈りを捧げることで、少しでも心が軽くなり、前向きな気持ちを取り戻すことができるかもしれません。

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