神社をめぐっていると、由緒書きや案内板に**「延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)」**という言葉を目にすることがあると思います。
「式内社」や「式外社」といった言葉も、この延喜式神名帳に由来しています。
では、この「延喜式神名帳」とは一体何なのでしょうか?
今回はその歴史的背景や内容、そして神社めぐりを楽しむうえでのポイントをわかりやすく解説します。
◆ 延喜式神名帳とは?
延喜式神名帳とは、平安時代に編纂された法典『延喜式(えんぎしき)』の中に収められた、全国の神社一覧のことです。
- 編纂:延喜5年(905年)に開始
- 完成:延長5年(927年)
- 内容:律令制度に基づき、国家が祭祀を行う「官社(かんしゃ)」を記録
この神名帳には、**全国で2861座(3132社)**の神社が記載されています。
つまり、国家的に「正規の神社」として認められていた神々のリストといえるのです。
◆ 記載された神社の社格
延喜式神名帳に記載された神社は、後世に「式内社(しきないしゃ)」と呼ばれるようになります。
これに対して、記載されなかった神社は「式外社(しきげしゃ)」と呼ばれます。
さらに、式内社の中でも細かく分類がなされました。
- 官幣社(かんぺいしゃ)
中央(朝廷)が祭祀を行う神社。皇室にゆかりが深い。 - 国幣社(こくへいしゃ)
各国(地方)の国司が祭祀を行う神社。地域の守護神。 - 大社・小社
その中でも神社の格式や重要度に応じて「大」「小」に区分。
たとえば「官幣大社」「国幣小社」といった形で呼ばれます。
◆ 神社めぐりにおける「延喜式神名帳」
現在でも、延喜式神名帳に記載された神社を**「式内社」**と総称し、由緒ある古社として尊重する傾向があります。
- 社号標に「式内社」と刻まれている神社が多い
- 神社の由緒を知るときに「式内〇〇社」と表記されている
- 神社研究や歴史愛好家にとって重要な基準
特に、地方の神社を訪れると「この神社は延喜式に載っているのかどうか」が、その神社の歴史的価値を知る手がかりになります。
◆ 延喜式神名帳の魅力と楽しみ方
延喜式神名帳は単なる「古い神社リスト」ではなく、千年以上前の人々がどんな神を大切に祀っていたかを示す歴史資料でもあります。
神社めぐりの際には、
- 参拝する神社が「式内社」かどうかを確認する
- 近隣の「式内社」をまとめて訪ねてみる
- 「式外社」との違いを楽しむ
といった視点を持つと、参拝がさらに奥深い体験になるでしょう。
◆ まとめ
延喜式神名帳とは、
- 平安時代に国家が編纂した「公式の神社一覧」
- 記載された神社は「式内社」と呼ばれ、格式高い存在
- 現代の神社めぐりでも、神社の歴史や格を知る重要な手がかり
であることがわかります。
社号標に「延喜式内社」と刻まれた神社を見かけたら、それは千年以上前からの歴史を背負った古社である証。
ぜひ、その由緒を感じながら参拝してみてください。
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