【神様図鑑】天津甕星（あまつみかぼし）｜星の神にして異端の反逆神、その正体と信仰とは？

**天津甕星（あまつみかぼし）**は、
日本神話においてきわめて異質な存在感を放つ神です。

「星の神」として知られながら、
時に「反逆神」「闇の神」とも称され、
謎に包まれた神格として多くの神話研究者や信仰者に注目されています。

◆ 基本情報｜天津甕星とは？

項目	内容
神名	天津甕星（あまつみかぼし）／天香香背男（あめのかがせお）とも
神格	星の神、反逆神、夜の象徴神
属性	戦い、闇、星、拒絶
主な登場神話	国譲り神話、天孫降臨神話（『日本書紀』）など

天津甕星は、『日本書紀』の異伝に登場します。
天照大神や高皇産霊尊が葦原中国（地上世界）を平定しようとした際、
多くの神々は説得に応じて国を譲りましたが、
ただ一柱、天津甕星だけが従わなかったと記されています。

このため、**建御雷神（たけみかづちのかみ）**が派遣され、
天津甕星を討伐したと伝えられます。

その反抗的な姿勢から、
天津甕星は「最初の悪神」「反逆神」とも呼ばれています。

天津甕星は、別名を「天香香背男（あめのかがせお）」ともいいます。
この名は「輝く星の男神」を意味し、
古代日本において**金星（宵の明星）**を象徴していたとも考えられています。

金星は美しく輝く一方で、夜に現れる星であるため、
美と恐怖、光と闇の両面をあわせ持つ神とされてきました。

天津甕星は神話の中では「討たれる存在」ですが、
その強さ・個性ゆえに、地域によっては信仰の対象にもなっています。

神社名	所在地	特徴
香取神宮奥宮	千葉県香取市	建御雷神との関係から天津甕星への信仰を伝える伝承も
鹿島神宮	茨城県鹿嶋市	建御雷神が天津甕星を討った神社とされる伝説
北斗神社（星神社）など	全国各地	星神信仰の一形態として類似神格と関連づけられることあり

現代では、天津甕星は「異端の神」「ダークヒーロー的存在」としても注目されています。

アニメ・小説・ゲームなどのサブカルチャーでもしばしば登場し、
「神話的ヴィラン」や「謎の存在」として人気を博しています。

天津甕星は、日本神話における「従わぬ者」。
しかし、その神格には恐れと同時に畏敬の念も含まれます。