【神様図鑑】尻調根命（しりつぎねのみこと）｜熱田神宮を支えた尾張氏の祖神

日本の神話には、あまり表舞台に出てこないものの、
地域の文化や神社の成り立ちを深く支えてきた神々が存在します。

今回ご紹介する「尻調根命（しりつぎねのみこと）」は、まさにそうした神のひと柱。

彼は、草薙剣を祀る熱田神宮と縁の深い尾張氏の祖神の一人として知られ、
熱田神宮の祭祀を担った神官家＝尾張氏の精神的支柱でもあります。

◆ 尻調根命とは？

尻調根命は、古代氏族「尾張氏」の一系統において、
熱田神宮の神職を代々世襲してきた家系の祖先神とされています。

尻調根命は特に以下のような系譜に関係しています：

つまり、尻調根命は建稲種命の子、またはその直系にあたり、
草薙剣を熱田に留めた一族の後継者ともいえる存在なのです。

「尻調根（しりつぎね）」という珍しい神名には、以下のような意味合いが考えられています：

つまり「尻調根命」とは、
祭祀や神宝の継承を担う者、尾張の信仰を支える後継者を意味する神名だと解釈できます。

尻調根命は、熱田神宮の神宝（草薙剣）を守り続けてきた神官一族＝尾張氏の始祖の一柱として、
神宮祭祀の精神的支柱となってきました。

熱田神宮では直接主祭神として祀られていませんが、
その摂社・末社、または神宮祭祀の中で祖神として祀られている可能性があります。

特に、熱田神宮周辺にある尾張氏縁の神社では、尻調根命に関わる伝承が静かに残されています。

尻調根命は、あまり知られていない神でありながら、
日本古来の「家」「祭祀」「継承」という価値観を象徴する神です。

こうした人々にとって、**“見えない背中を支えてくれる神”**とも言える存在ではないでしょうか。

熱田の社殿の奥――
草薙剣を祀る神聖な場所を代々守ってきた一族の根源に、
尻調根命という静かな神の存在がありました。

もしあなたが、家系の守りや伝統の継承を大切にしたいと思うなら、
この神にそっと思いを馳せてみてはいかがでしょうか。